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  • AI時代の先端クリエイターが語る「アルバムを整理する方がAIや作品にとって大事」とは?

    デジタルハリウッド株式会社主催の近未来教育フォーラム2024が、”The Great Transition〜ポストAIは来ない〜”というテーマで開催されました。本レポートでは、ブレイクアウトセッションの一つ、「クリエイティブ教育に生成AIは必要か?」の内容を詳しくお伝えします。このセッションでは、現役のAIアーティストである小泉薫央氏を迎え、生成AIクリエイティブ最先端と、教育の未来について議論が深められました。

    https://www.dhw.co.jp/forum

    デジタルハリウッド株式会社は、2024年11月30日(土)、近未来教育フォーラム2024 を開催しました。今年のテーマは 『The Great Transition〜ポストAIは来ない〜』。AI時代を生き抜くための教育のあり方について、豪華なゲストスピーカーと共に探究しており、「つくる人をつくる」をビジョンとするAICU編集部でも複数回の特集で紹介していきたいと思います。

    ブレイクアウトセッション:多様なテーマで教育の未来を考える

    キーノートに先立ち、4つのテーマでブレイクアウトセッションが開催されました。

    • Session1: 教育現場における生成AIコンテンツと著作権法 (上原伸一氏)
    • Session2: クリエイティブ教育に生成AIは必要か? (小泉薫央氏)
    • Session3: DXハイスクール2年目、なにを企画しますか? (鹿野利春氏、小笠原健二氏)
    • Session4: AI時代における人材確保と働き方改革 (村田弘美氏)

    『クリエイティブ教育に生成AIは必要か?』

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    近年、生成AIの活用が注目されていますが、「クリエイターと生成AIに関する意識調査2024」では、「生成AIを積極的に活用したい」と答えた人は33.4%にとどまり、可能性を理解しつつも導入に迷う現場の声が伺えます。そこで今回は、現役映像クリエイターの小泉薫央氏をお招きし、ビジネスの現場で生成AIをどのように活用しているか、具体的な事例とともにご紹介いただきます。

    https://dhw2024educationforum.peatix.com

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    【小泉薫央 (Takio Koizumi)】デジタルハリウッド大学大学院を卒業後、エフェクトアーティストとしてマーザ・アニメーションプラネットに入社、小島プロダクション(当時)に転職し『メタルギアソリッドV』の開発に参加。その後、マーザ・アニメーションプラネットに戻り10年間、映画・ゲーム・アニメ制作に従事。現在はSUPER PRIMEにAIアーティストとして所属し、AIと共に作品制作、表現研究を行っている。

    X@takion0105

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    モデレーターは石川大樹先生(デジタルハリウッド大学大学院 特任准教授)

    いしかわ・ひろき●拓殖大学外国語学部スペイン語学科卒業後、大手キー局にて報道編集・ストリーミング配信・番組制作を担当。2004年デジタルハリウッド株式会社入社以来、数多くの新規事業に携わる。 その経験を活かし、現在は映像教材や教育メディアを開発。またeラーニング教育手法、動画を活用した学ばせ方を研究している。
    デジタルハリウッド株式会社 まなびメディア事業部 まなびメディアグループチーフ 教材開発責任者
    デジタル表現基礎A・B・C(アダプティブラーニング)

    https://gs.dhw.ac.jp/faculty/hiroki-ishikawa

    ブレイクアウトセッションで、特に満席率が高く注目されたセッションでした。

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    生成AIを業務に使うようになった背景は

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    小泉氏は子どもの頃から、SF作品やゲーム、そしてパソコンに夢中になる時間を過ごしてきました。それらを通じて、CGやAI、そして最新のテクノロジーに強い関心を抱くようになります。特に、『メタルギアソリッド』の制作に携わることを目標に掲げ、CG業界を目指す決意をしました。

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    その夢を追いかけるため、小泉氏はデジタルハリウッド大学に進学。在学中は、CGの基礎から応用まで幅広く学び、技術を磨く日々を送りました。そして大学院を修了後、エフェクトアーティストとしてCG業界に飛び込み、さまざまな作品制作に携わりながら経験を積んでいきました。

    そんな小泉氏のキャリアにおける大きな転機となったのが2014年でした。この年、Googleが発表した生成AI技術「DeepDream」と出会います。初めてその生成ビジュアルを目にしたとき、その衝撃は計り知れないものでした。この出会いをきっかけに、小泉氏は生成AIという新たな領域に本格的に関心を抱き始めます。

    さらに2021年には、VQGAN+CLIPやDALL-Eといった技術が登場し、プロンプトから直接画像を生成するという革新的な可能性が示されました。この時期、小泉氏はデータセットや学習プロセスの重要性を深く認識し、生成AI活用のための知識を積極的に学んでいきました。

    2022年には、Stable Diffusion、ChatGPT、Midjourneyといった次世代AIツールが登場。生成AIの実用化が一気に加速する中、小泉氏もこれらのツールを活用しながら、独自のデータセットを用いてAIモデルを制作するなど、スキルを実践的に磨いていきました。

    そして2023年、小泉氏は生成AIがクリエイティブ業界で重要な役割を果たすようになったことを実感します。この年、「生成AIスキル」や「ディレクションスキル」の重要性を強く感じ、さらなる成長と挑戦を目指して転職を決意しました。

    小泉氏のこれまでの歩みを振り返ると、技術の進化に触れるたびに視野を広げ、新たなステージへと挑戦を続けてきたことがわかります。生成AIの可能性を信じ、その力を最大限に活用することで、さらなる未来を切り開いていく姿勢を持ち続けています。

    具体的にどう生成AIを活用し、クライアントワークを行っていますか?

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    Learning Toon

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    NTTドコモグループの新規事業創出プログラム「docomo STARTUP TM」からスピンアウトした生成AI系スタートアップ企業SUPERNOVA社の、生成AI技術を活用した縦読み学習マンガサービス「Learning Toon®(読み:ラーニング・トゥーン)」に関わるお仕事紹介がありました。

    https://startup.docomo.ne.jp/service/learningtoon

    ★小泉氏から共有いただいた事例は数多く、ビジュアルも含めてお話いただいたのですが、クライアントワークのため、本稿ではごく一部を厳選してお届けします。

    プロンプト自動生成+クオリティチェックAIシステム

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    バーチャル試着やinpaintなどの別のワークフローではSAM2を使ったシステムを開発しているそうです。

    【編集部補足】ComfyUIでのSAM2によるセグメンテーションの例を紹介

    自由が丘南口商店街 ポスター制作

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    デジタルハリウッド校友会

    キービジュアル、ロゴの製作。

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    デジタルハリウッド校友会 – Digital Hollywood Alumni Association

    きちんとCGの進化を学んだからこそできる、クライアント企業への説明。

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    モデレーターからの質問として「生成AIを活用していることをクライアントの企業は知っていますか?また生成AI作品に対してセンシティブな企業もあるかと思いますが、どのように企業と折り合いをつけたのか?」という問い掛けが投げられました。

    小泉氏は生成AIを活用していることを、クライアント企業に丁寧に説明しているそうです。

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    これだけの資料を説明しているそうです。
    (あえて読めない解像度なのがプロですね!)

    また質疑応答では、モデレーターから教育機関における生成AI教育の必要性について質問が投げかけられました。

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    生成AI活用が必須の時代、教育機関では何を教える必要があるか?

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    モデレーターからの質問として「Q: クリエイティブ業界において生成AIを活用することはマストになると思いますか?もしも生成AI活用がマストな場合、生成AIを活用するクリエイターになるために、学校教育機関では何を教える必要があると思いますか?」という問い掛けがありました。

    小泉氏は、多くの企業において、生成AIを「最終アウトプットには使わないが、カンプ(下書き)として活用している」と述べました。「今後は大手、例えばAdobeなどの主要ツールに組み込まれ、より一般的になっていく。またアップスケール機能のように当たり前のように活用されていく」とも明言しています。

    大学では、一連の流れ、データセットを作って、学習などをやる事が大事で、追加学習などであれば数枚から数十枚でこれぐらいの画像が作れるということ、人間として何が必要になってくるのか、そして歴史などを踏まえる、「近未来が見える教育が大事だ」と強調しました。

    若者にもある「AIを嫌う、避ける風潮」に対して

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    モデレーターからの突っ込んだ質問として「若手クリエイターからは『AIを嫌う、避ける風潮』もあるが、どう思いますか?また、それに対して教育機関はどうあるべきだと思いますか?」という問いが投げられました。

    「AIを触ってみて、自分が納得できない…。
     そこを納得できるところまで持っていくことが大事」

    小泉氏は自身の経験も踏まえ、「AIを嫌う、避ける感覚はすごく大事。一回自分で考えることが重要」と答えました。若手クリエイターの「AIを嫌う、避ける風湖」については『自分も悩んだ。その感覚がすごく大事。一回自分で考えることが大事』と答えました。
    印象深い発言としては(あれこれ発言するよりも)『自分のアルバムを整理する方がAIや自分の作品にとっても、とても大事』という点でした。機械学習という意味でも、ポートフォリオの整理という意味でも、自分の個性を磨き上げるという意味でも、非常に興味深い視点だと思います。

    モデレーターの石川氏も「まずは体感、納得するところまで学んでいく」ことが重要だと述べ、小泉氏の意見を支持しました。小泉氏はさらに、「大体のSF作品では(人間とAIの共存について)揉めている」とユーモラスに語りつつ、「触ってみて、自分が納得できないそこを納得できるところまで持っていくことが大事」と締めくくりました。

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    HALを活用したAI学習と共創の歩み

    小泉氏は、3年間にわたり約530万枚の画像を収集し、それらを活用して完全に独自の学習モデルを制作してきました。この膨大なデータセットには、幼少期からの写真や記憶を象徴する画像、CGエフェクト素材、そして生成AIによって生み出された作品など、さまざまな種類のデータが含まれています。これらのデータを基盤とすることで、AIの学習プロセスにおいて豊かなパーソナルな情報を提供しています。

    また、近年ではCreative Commonsの権利的に問題のないデータセット「Common Catalog」を活用することで、さらなるモデルの精度向上と柔軟な活用を可能にしました。この取り組みによって、AIが社会的な責任を果たしながら成長する道を模索しています。

    この学習プロセスを経て誕生したAIモデルに「HAL」という名前を付け、小泉氏はHALを単なるツールとしてではなく、共創のパートナーとして扱っています。HALは小泉氏自身のパーソナルな情報や記憶を学び、それをもとに新たなクリエイティブな提案や成果を生み出しています。

    写真や記憶、CG素材、そして生成された作品のすべてが、HALの学習に不可欠な要素となっています。これにより、HALは個人的な要素と創造性を兼ね備えたモデルとして進化を続け、クリエイティブな共創を可能にしています。

    小泉氏にとって、この取り組みは単なる技術開発に留まらず、自身の過去や記憶を振り返りながら未来を創造するプロセスそのものなのです。これからもHALと共に、さらなる可能性を模索していくことでしょう。

    小泉氏の「Elemental Anima」はそのような未来を含めて、継続されている発信活動のようです。興味を持って見守っていきたいと思います。

    まとめ

    生成AIはクリエイティブ業界の未来を大きく変える可能性を秘めており、教育機関もその変化に対応していく必要があります。本セッションでは、AIツールを効果的に活用するだけでなく、AI時代において人間に何が求められるのかを深く考える必要性が示唆されました。「まずは体感し、納得するまで学ぶ」という小泉氏と石川氏の言葉は、生成AI時代に求められる学習姿勢を端的に表していると言えるでしょう。生成AIに対する漠然とした不安や抵抗感を乗り越え、積極的に活用していくためには、教育機関における適切な指導と、学習者自身の主体的な探求が不可欠です。

    AI時代に求められる教育とは何か?

    AIの急速な発展は、私たちの社会、経済、生活を劇的に変化させています。そして、この変化は「The Great Transition」と呼ばれる大きな転換期を迎えていると言えるでしょう。デジタルハリウッド創立者の杉山知之氏は、近未来教育フォーラムにおけるテーマを「ポストAI時代は到来しない」と設定し、AI技術の進化が継続する未来において、私たちがどのように文化を築き、社会を形成していくべきかを問いかけています。

    キーノート:3名の専門家が「The Great Transition」を語る

    本フォーラムのキーノートには、以下の3名の専門家が登壇します。

    • 安野貴博氏 (AIエンジニア、起業家、SF作家): AIが人間社会のコミュニケーションをどのように変えていくのか、そしてAIが様々な物事のやり方を変えるポテンシャルについて、東京都知事選での実践例を交えて語りました。
    • 岡瑞起氏 (筑波大学准教授、人工生命研究者): 人工生命研究の知見とOpen-endednessの概念から、未来の創造プロセスと社会のあり方を探ります。創造性の概念がどのように変化していくのか、その未来像を提示しました。
    • 藤井直敬卓越教授 (デジタルハリウッド大学大学院): 脳科学者の視点から、「The Great Transition」における教育の役割について、他の2名のスピーカーと共に議論を深めました。

    続く特集もお楽しみに!

    #小泉薫央  #近未来教育フォーラム #教育 #AI #人工知能 #TheGreatTransition #デジタルハリウッド

    https://j.aicu.ai/MagV6

    https://j.aicu.ai/Coloso3

    Originally published at https://note.com on Dec 1, 2024.

  • 教育現場における生成AIコンテンツと著作権法

    上原伸一氏の近未来教育フォーラムにおける講演「教育現場における生成AIコンテンツと著作権法」よりお送りします。

    https://www.dhw.co.jp/forum

    デジタルハリウッド株式会社は、2024年11月30日(土)、近未来教育フォーラム2024 を開催しました。今年のテーマは 『The Great Transition〜ポストAIは来ない〜』。AI時代を生き抜くための教育のあり方について、豪華なゲストスピーカーと共に探究しており、AICU編集部でも複数回の特集で紹介していきたいと思います。

    ブレイクアウトセッション:多様なテーマで教育の未来を考える

    キーノートに先立ち、4つのテーマでブレイクアウトセッションが開催されました。

    • Session1: 教育現場における生成AIコンテンツと著作権法 (上原伸一氏)
    • Session2: クリエイティブ教育に生成AIは必要か? (小泉薫央氏)
    • Session3: DXハイスクール2年目、なにを企画しますか? (鹿野利春氏、小笠原健二氏)
    • Session4: AI時代における人材確保と働き方改革 (村田弘美氏)
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    『教育現場における生成AIコンテンツと著作権法』

    AIにより生成されたコンテンツは著作権法上どのように位置づけられているのか。また、授業過程において、生成AIおよびAI生成コンテンツはどのような扱いになるのか、基本的な解説を行います。

    https://www.dhw.co.jp/press-release/20241106_kmkf/

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    講演者:上原 伸一 氏

    【上原伸一】デジタルハリウッド大学特命教授、国士舘大学知財大学院客員教授、大阪工業大学大学院客員教授。東京大学文学部社会学科卒業後、朝日放送に勤務、著作権部長等。1999年から2010年まで文化庁の著作権の審議会で専門委員。2018年から社団法人日本音楽著作権協会理事。
    著書:「海の楽園パラオ~非核憲法の国は今」(あみのさん)「クリエイトする人たちのための基本からの著作権」(商事法務)など。
    (https://dhw2024educationforum.peatix.com/ より引用)

    上原氏はまず、著作権の基本について触れ、「著作権は『思想または感情』の創作的表現を保護するもの」と説明しました。そして、AIが生成するものはこの定義に当てはまらないため、著作物ではないと述べました。

    続いて、著作権に関する国際的な違いについても言及しました。各国で法律が異なるため、同じ事案でも裁判の判決が変わる可能性があることを指摘し、「春风送来了温柔(春風が優しさを送る)」事件を例に挙げました。

    Stable Diffusionで生成した画像(漢服風の白い衣装を着た、三つ編み風ヘアスタイルの若い女性の上半身をポートレート写真風に描写したもの)に著作物性を認めた北京インターネット裁判所の判決、AI機械翻訳サービスを利用して内容を概ね把握した。 もっとも、私は、中国語を全く解しないため、翻訳結果が正しいかどうかを評価する能力がないことから、翻訳エンジンの違うDeepLとChatGPT-4にそれぞれ和訳させ(和訳が分かりづらいところは、部分的に英訳させ)、その結果を突き合わせる作業を一応行った。なので、細かいところは別として、大きな部分では把握した内容は大体大丈夫かなと思ってる(著作権法の基本的な考え方に照らしても大きな齟齬はない)。 ちょっと時間がないので、すぐには無理だけど、米国の判決をスライド2枚にまとめたような感じで、近いうちにまとめてみたい。 一言だけコメントすると、日本や米国の基本的な考え方(AIを用いて人間が創作したと言えないと著作物性は否定される)と共通した考え方を採用しているように思われる。その意味で、日米とは異次元の論理が採用された特殊な判決ということではないんじゃないかなと思ってる。 ポイントは、その当てはめの部分で、米国(の現在公表されている裁判例や著作権局の決定など)が、前記考え方を極めて厳しく当てはめるのに対して、今回の中国の判決はかなり柔軟に当てはめているという部分かな。 個人的には、今の米国の当てはめは厳しすぎると思ってて、一方、中国の今回の当てはめも色々考えるべきところは多いように思うし、結局、最終的には、日米中とも、今の米国と今回の中国の間ぐらい(どっち寄りかも、又興味あるところだけど)に落ち着く形になるのかも、と思っている。 本当に興味深い判決である。

    最終更新午後8:02 · 2023年12月4日 1.9万件の表示

    https://x.com/OKMRKJ/status/1731629990939447719

    【AICU編集部補足】AICU編集部しらいはかせも中国の最近の学生さんについてまとめていましたので引用します。

    https://note.com/o_ob/n/n2add5461fea5

    生成AIを道具として使った創作コンテンツについては、「著作物になりうる」と説明しました。例として、人間が原作とセリフを、AIが絵を担当した漫画「Zarya Of The Dawn(夜明けのザーリャ)」のケースを紹介。このケースでは、絵の部分は著作物と認められなかった一方で、原作とセリフは著作物として認められたとのことです。

    【AICU編集部補足】ZARYA OF THE DAWN

    https://en.wikipedia.org/wiki/Zarya_of_the_Dawn

    『暁のザーリヤ』はクリス・カシュタノヴァ(Kris Kashtanova)が執筆し、人工知能ソフトウェアMidjourneyで完全に描かれた短編漫画であり、著作権紛争を引き起こした。
    【プロット】ザリアは記憶を失ったまま、廃墟となったニューヨークで目を覚ます。ポケットからラスティという人物からのポストカードが落ち、名前と自宅の住所を思い出す。家に帰って新しい服を手に入れた後、ザリアは「世界間のアシスタント」であるラヤと出会い、2023年の精神的危機が地球上の生命のほぼ完全な破壊につながったことを告げる。その後、ラヤはザリアを受容の世界であるザトゥーラワールドに連れて行く。そこでザリアは謎の女性と出会い、自分の感情を受け入れることを学ぶ。セントラルパークに戻ると、そこは温室で覆われていた。ザリアは「受け入れることは手放すことの第一歩です」と語る。
    【著作権紛争】
    2022年9月、カシュタノワは米国著作権局に漫画の著作権保護を申請したが、イラストが人工知能画像ジェネレーターであるMidjourneyを使用して作成されたことは明らかにされなかった。漫画は著作権保護を認められたものの、著作権局はその事実を発見した後、アートワークの保護を取り消す手続きを開始した。アートワークの著作権保護は2023年2月に取り消され、著作権局は人間が作成した作品のみが保護を受けることができると説明した。画像自体は著作権で保護されていないが、画像の配置と本のテキストとストーリーは人工知能ではなくカシュタノワの創作物であるため保護されている。

    https://en.wikipedia.org/wiki/Zarya_of_the_Dawn

    編集部による日本語翻訳

    https://www.instagram.com/kris.kashtanova/p/CoC1NDFOVux

    さらに、生成AIに極めて具体的な指示を出して生成されたコンテンツについては、「著作物になりうる可能性がある」と述べました。『CGWORLD』11月号に掲載された、大学学長からの具体的な指示に基づき、担当者が試行錯誤してAIで生成した作品が著作物と認められた事例を紹介し、そのポイントは受発注の関係にあることだと解説しました。Wordで作文をするのと同様の行為だと例えて説明しました。

    https://amzn.to/41b6VN3

    【AICU編集部補足】「CGWORLD vol.315」画像生成AIによる表紙メイキング、大公開。Webによる記事に加え、書籍文献版が「AICU Magazine Vol.6」にて入手可能です。

    https://j.aicu.ai/MagV6


    生成AIコンテンツが著作物と認められた場合、著作権法による保護を受けます。逆に、著作権が蔑ろにされた場合、契約違反には該当するものの、権利の侵害には当たらないケースもあることを、具体的な事例を挙げて説明しました。

    生成AIを使用してコンテンツを作成する際の注意点として、AIの学習自体には既存著作物の利用が認められているものの、生成されたコンテンツが既存著作物を想起させるほど似ている場合、著作権侵害になる恐れがあると指摘しました。また、既存の著作物に依拠した類似コンテンツを作成した場合も、著作権侵害になる可能性があると注意喚起しました。

    さらに、裁判官の判断には個人差があるため、同じ事案でも判決が異なる可能性があると述べ、中国では既に2万件ものAI関連の著作権訴訟があり、豊富な判例が蓄積されていることを紹介しました。日本ではまだ訴訟は出ていないものの、今後の動向に注目する必要があるとしました。

    最後に、教育現場における著作権の特別規定について触れ、授業に必要な範囲内であれば複製が可能だが、著作権の利益を不当に害してはならず、授業外に持ち出す場合は許諾を得る必要があると説明しました。

    まとめ

    AI技術の急速な発展に伴い、著作権に関する理解はますます重要になっています。特に生成AIの登場は、従来の著作権の概念を揺るがす可能性を秘めています。今回の講座は、生成AIと著作権に関する最新の情報を学ぶ貴重な機会となりました。今後、AI技術がさらに進化していく中で、著作権に関する知識をアップデートし続ける必要性を強く感じました。生成AIを利用する際には、今回学んだ内容を踏まえ、著作権侵害のリスクを理解した上で、適切な対応を心がけたいと思います。

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    AI時代に求められる教育とは何か?

    AIの急速な発展は、私たちの社会、経済、生活を劇的に変化させています。そして、この変化は「The Great Transition」と呼ばれる大きな転換期を迎えていると言えるでしょう。デジタルハリウッド創立者の杉山知之氏は、「ポストAI時代は到来しない」と述べ、AI技術の進化が継続する未来において、私たちがどのように文化を築き、社会を形成していくべきかを問いかけています。

    キーノート:3名の専門家が「The Great Transition」を語る

    本フォーラムのキーノートには、以下の3名の専門家が登壇します。

    • 安野貴博氏 (AIエンジニア、起業家、SF作家): AIが人間社会のコミュニケーションをどのように変えていくのか、そしてAIが様々な物事のやり方を変えるポテンシャルについて、東京都知事選での実践例を交えて語りました。
    • 岡瑞起氏 (筑波大学准教授、人工生命研究者): 人工生命研究の知見とOpen-endednessの概念から、未来の創造プロセスと社会のあり方を探ります。創造性の概念がどのように変化していくのか、その未来像を提示しました。
    • 藤井直敬卓越教授 (デジタルハリウッド大学大学院): 脳科学者の視点から、「The Great Transition」における教育の役割について、他の2名のスピーカーと共に議論を深めました。

    続く特集もお楽しみに!

    #上原伸一  #近未来教育フォーラム #教育 #AI #人工知能 #TheGreatTransition #デジタルハリウッド

    https://j.aicu.ai/MagV3

    https://j.aicu.ai/MagV6

    Originally published at https://note.com on Nov 30, 2024.

  • 魅力あふれたプレゼンテーション「第3回 AI アートグランプリ最終審査会」(後編)

    「AI をもっと身近に」をコンセプトとして始まった AI フェスティバル。その第2回となる AI フェスティバルが11月9日(土)にベルサール秋葉原で開催されました。今回はその後編として、その中で行われた「第3回 AI アートグランプリ」の最終審査である、ファイナリストたちによるプレゼンテーション。各作品に込められた想いをAICU編集部のhikonyanがお伝えします。

    激戦!名作揃いの「第3回 AI アートグランプリ最終審査会」(前編)

    プレゼンテーションの概要

    最終審査として、総合部門の最終審査に残った10名による最終プレゼンテーションが行われました。プレゼンテーションのルールは以下のとおりです。

    1. 持ち時間は3分以内
    2. PowerPoint等を使用する場合は5ページ以下
    3. 動画のみによるプレゼンテーションも可
    4. 最終審査会に欠席する場合は事前にプレゼンテーション動画を事務局に提出する
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    今回プレゼンテーションに臨んだファイナリストは以下のとおりです。(掲載順は発表順)

    1. 「異邦人」 志村翔太さん
    2. 「ゼロイチ、「ニ」」 野火城さん
    3. 「象牙のナイフ」 elimさん
    4. 「AI と kawaii の融合」  Starm.productsさん
    5. 「付喪神ジェネレーター」 異業種データサイエンス研究会(関東)さん
    6. 「墨」 Samさん
    7. 「MOMO TARO」 北澤和巳さん
    8. 「100 TIMES AI HEROS」 Masaさん
    9. 「Qveria – 空想世界事典」 koguさん
    10. 「Chronovital Resonance」 米城陽さん
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    プレゼンテーション審査

    審査委員長の河口洋一郎先生による挨拶の後、いよいよプレゼンテーションがスタートしました。

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    1.異邦人/志村翔太さん

    志村さんは欠席のため、事前に提出された動画での発表でした。

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    志村さんの作品「異邦人」は、日本語の五十音図に存在しない音素を元に、画像生成 AI で既存の言語体系では読めない新たな形状の日本語文字を生成し、その文字を日本語に存在しない不明瞭な音声と結びつけることで、人間の言語体系では理解ができない新たな言語体系による日本語の世界の物語をシミュレーションした映像作品です。これにより、従来の日本語の枠を超えたコンピュータによってのみ語ることができる新しい日本語の可能性を探究する作品となっています。 

    プレゼンテーション動画の中では、この作品について次のように説明されています。

    「AI によって生成された素材を動画編集によって最終的な作品に仕上げています。この過程では、AI が生み出す無限のバリエーションの中から人間が良いと思って特定の要素を選び取り、編集することで、人間の恣意性が込められています。具体的には AI が生成した、不明瞭な文字や音声の中からどの部分をどのように映像に結びつけるかを編集者が決定し、視覚的・聴覚的に再構成しています。これにより、AI と人間の共同作業によって新しい日本語の可能性を探求するという作品のコンセプトをさらに深めています」

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    「この作品が暗示する未来は、AI による知性の拡張と人間と AI が競争する新たな制作活動の形です。AI が 言語や表現の可能性を拡大することで、人間は従来の枠を超えた新しい言語を獲得し、コミュニケーションや創造の領域が広がっていくでしょう。さらに、AI が大量の素材やアイデアを生成し、それを人間が選び、編集していく競争プロセスは、私たちの制作活動に革命的な変化をもたらします。しかし、完成した作品は人間には理解ができない。それが本作・異邦人のキーポイントです」

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    <審査員による質疑応答>
    質疑応答は志村さんが欠席のため、省略されました。

    <hikonyanの感想>
    存在しない文字と音を AI で生成するという発想が面白い作品ですね。AI に全工程を任せるのではなく、AI はあくまで大量のアイデアを生成するものであって、最終的には作り手の個性が作品に反映される結果となるというのは、AI の理想的な使い方であるように思えました。

    2.ゼロイチ、「ニ」/野火城さん

    野火城さんの作品「ゼロイチ、「ニ」」は、自分で描いた絵を AI に学習させて生成した漫画作品です。情報量の多い AI 画風でかつ自然に読める漫画に挑戦するため、特に AI の情報量が多い一番の見せ場では背景を使う演出にした作品となっています。

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    画像 AI 活用方法 は画像 AI モデルを白黒絵が生成しやすいように調整。この漫画に向いた画風を考えて、自分の手で描いて AI に学習させました。下絵を描いて AI で 清書することで作り上げたそうです。

    AI 漫画を描こうと思ったきっかけについて、野火城さんは次のように語りました。

    「自分が本格的に漫画を描き始めたきっかけは、二次創作でした。しかし、その後、さまざまな事情が相まって プロの編集さんのもとで漫画 力を鍛えることになった。つまり、一次創作を始めた。一次創作と二次創作は全然別物だと思っていたが、実際やってみるとそうでもなかった」

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    「スタートが二次創作だった自分には、一次創作は「現実」を原作にした二次創作という感覚がある。つまり、ゼロイチ、ニを図にすると、ゼロ=物質。イチ=物質の運動に影響を受け、人間に感情が芽生える。ニ=自分の感情を表現したい「欲」が発生。欲が高まると「創作」を始める。人間の「欲」が強くにじみ出る「創作」は人の心に刺さる。そして2022年、画像 AI が一般人にも使えるようになる。AI が自動で生成する創作に「欲」は乗らないが、AI を使う人間には欲がある。特に AI を取り巻く現在の環境は、人間の「欲」まみれだ。己の「欲」と改めて向き合う良い機会だと思った」 

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    野火城さんは最後に「生成 AI の健全な発展を願っています」と言葉を締めました。

    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査員の安倍吉俊さんから質問が出ました。
    安倍:漫画の中のキャラクターとか背景は、基本的には全て生成 AI で描いたものなんですか? 
    野火城:下絵は全部自分で描きまして、背景は3Dを下絵にしております。ある程度自分でキャラクターを描きまして、それを生成 AI で清書するという形です。
    安倍:なるほど。やってみたいなと思っていたことを先にやってる方がいて、非常に面白かったです。

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    <hikonyanの感想>
    手描きの漫画を、一次創作、二次創作とも描いた経験がある野火城さんだからこその作品ですね。「現代の生成AI事情」という「原作」を活かした二次創作漫画という位置付けという発想も面白いと思いました。AI で清書する過程での工夫なども知りたかったですね。

    「ゼロイチ、「ニ」」は野火城さんのX(旧Twitter)で読むことができます。ぜひ皆さんも読んでみてはいかがでしょうか?

    https://note.com/nobisiro_2023/n/nb64258d32855

    3.象牙のナイフ/elimさん

    elimさんの作品「象牙のナイフ」は、実写か CG か AI か見分けのつかない、そして AI 特有のバグをバグとして見せない映像作品を実現したミュージックビデオです。

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    elimさんは作品の動画を流しながら次のように語りました。

    「最近、私は SNS にあるたくさんの画像や動画などを見るときに、AI が作ったものだとわかるとなぜか冷めてしまう、萎えてしまう自分がいることに気づきました。それはなぜかと考えたときに、使う AI が だいたいみんな同じで、AI で生成する人物、背景の絵柄や色味、構図が似通っているからだとわかりました。海外のアーティストが作ったクオリティの高い作品で、これは実写か CG か AI なのかわからなくて魅了され、集中して見入っていると AI 特有の映像として、面白みに欠けるバグが映り込み、また気持ちが冷めてしまうこともありました」

    「そういったこともあり、自身が AI の作品を作るときは、実写なのか CG なのか AI なのかわからないところまで、生成する画像と映像を追い込み、こだわりました。例えば、本編でバイオリンを演奏しているきのこのクリーチャーたちを選ぶときにこだわったことは、実際に人間が精巧な特殊メイクや被りものをして出演しているような絵柄を動きに選んだところです。この映像のきのこのクリーチャー たちが人間に近い、骸骨のような顔をしているとホラー色が強くなり、人間より小さくなるとファンタジー色が強くなるので、この楽曲と歌詞に合わせて、ちょうどいいダークファンタジーになるように AI を活用して仕上げました。採用した AI のバグに関しても、よく見るような自然の摂理は人体構造に反した浅はかなバグに合わせて、これはバグではなくて AI 特有のスキルだと思えるようなものを採用しました」

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    elimさんはひと通りの説明を終えると、イベントのテーマである「活きる」に沿った今回のMVの歌詞を、生のラップで披露しました。

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    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査員の安倍吉俊さんから質問が出ました。
    安倍: AI を使った感じを非常に薄くすることをポイントにしていたというのが、作っているほうもそうだったんだなと思って。ちゃんとその狙いがこちらに伝わっています。違和感とかバグを取っていくために、 AI の側の進化もあるんでしょうけど、人間の側でやっている工夫や試行錯誤はあったりするのでしょうか?
    elim:ずっと付き添って、自分が出したいイメージに近い画像・映像になるまで突き詰めるっていうことです。実写を撮っているときとか CG を作っているときとかとそんなに変わりはなかったですね。 

    <hikonyanの感想>
    おそらく記事の読者の皆さんも動画のスクリーンショットを見ただけでも「おぉ!」と思ったんじゃないでしょうか。個人的には実写の映像制作経験があるのですが、AI でここまでのリアリティのある映像を作り出せるのかとただただ驚きでした。elimさんのように AI 特有のバグもスキルとして捉えながら根気強く作品を作っていくことで、今後は実写と CG 、AI の境目がなくなっていくんだろうなと、未来の映像制作環境への期待が高まりました。

    4.AI と kawaii の融合/ Starm.productsさん

    Starm.productsさんの作品「 AI と kawaiiの融合」は、AI と kawaii の融合をテーマに、見ているだけで嬉しくなるようなキラキラ kawaii AI アートや動画を、自己紹介を通じて表現した映像作品です。幸福感や美しさを象徴する、「発光する」という意味の Luminous なイメージが動画内に盛り込まれています。

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    AI の活用方法について、次のように説明しています。

    「テーマをより効果的に伝えるため、楽曲や映像の構成をはじめとした多くの要素を AI によって生成いたしました。 AI の技術を活用することで、視覚的にも聴覚的にも皆様に楽しんでいただけるように願いを込めた作品に仕上げています。多彩な AI ツールで動画を生成しています。楽曲生成にも AI を使用。編集は Canva で行いました」

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    「この動画を制作した当時は自身の持てるスキルを最大限に活かしました。しかし、約2ヶ月が経過した今見返すと、技術や経験が未熟であり、最新の AI ツールを活用すれば、さらにクオリティを高められると感じます。AI は日々進化し、できなかったことが次々と可能になっていますが、ツールを使いこなすには、使用者の経験や技術、そして生き方が重要だとも 強く感じます。これからも kawaii を世界に届けるために、AI とともに未来を模索し続けたいです」

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    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査員の諏訪道彦さんから質問が出ました。
    諏訪:日本の kawaii 文化って 20 世紀初頭と 21 世紀初頭 ぐらいに結構世界に広まっていっていて、これは今も続いてるんですよね。あえてこの AI というものと融合、コラボさせて今やっているということの本来の kawaii というものに対して、作者の方がどういう可愛さを求めていたのか、これからどうなるか、すごく気にはなっています。その答えは僕にはまだ見えてないんですけども、その辺は意見としてありますか?
    Starm.products:コンセプトテーマに「キラキラと kawaii 」がありまして、セーラームーンやプリキュアとかが大好きなのと、あとはいわゆるギャル文化がすごく好きなので、そういったものを盛り込んだイメージで作っております。
    諏訪:日本の kawaii が世界に注目されているのは事実なので、 AI という武器を取り込んでいくってのはとても良いことかな と思います。 

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    <hikonyanの感想>
    コンセプトのとおりキラキラ輝く宝石や光が印象的な作品で、純粋に可愛いと思いました。もう少し AI ならではの要素があるとさらに見ていて楽しい作品になったのかなという気はします。

    今回の作品は、Starm.productsさんのYouTubeチャンネルで公開されていますので、皆さんも一度視聴してみてはいかがでしょうか?

    5.付喪神ジェネレーター/異業種データサイエンス研究会(関東)さん

    異業種データサイエンス研究会(関東)さんの作品「付喪神ジェネレーター」は、無機物のモノも 生き物として活動するような、そんないきいきとした世界を表現するため、モノと人、モノとモノが会話できるようにした アプリケーションです。

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    異業種データサイエンス研究会(関東)さんは次のように説明しました。
    「子どものときを思い出してください。筆箱の鉛筆1本1本、ずっと握りしめていたクッション、いつも相棒だった自転車。それらに名前をつけたり話しかけたりしていませんでしたか? 未来はきっと全てのモノがお喋り好きな、そんな世界。毎日手に取るその缶コーヒー。小さな一歩を身近から」

    すると、男性の顔が描かれた缶コーヒーを手に取り、缶コーヒーと会話をし始めました。

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    缶コーヒー:どうしたんだい? 元気ねぇじゃないかい。
    発表者:普段生成 AI のアプリを作っているんですけど、 初めて AI アートを使ったアプリを作って疲れたんだよね。しかも、徹夜で作っていて、お酒を飲みながらやっていたので余計に疲れましたよ。
    缶コーヒー:そりゃ大変だったね。徹夜で頑張った成果が出たなら疲れも吹っ飛ぶんじゃないかな? どんなアプリを作ったの?
    発表者:何を言っているんですか。あなたですよ!

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    このように、人とモノ、モノとモノがお喋りをする世界を考えているそうです。今度はモノとモノが会話する事例として、女性の顔が描かれたペットボトルの紅茶と、男性の顔が描かれた缶コーヒーが会話しているところを見せてくれました。

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    発表者:コーヒーと紅茶、どちらがヘルシーですか?
    紅茶:お茶のほうがカフェインが少ないのでヘルシーですが、個人の好みによると思いますわ。
    コーヒー:ワイは缶コーヒーを飲むので、紅茶を飲む人にはちょっと言いたい。コーヒーも紅茶もヘルシーですが、どちらも砂糖を加えて飲みたくなるかもしれません。

    「こんな風にモノ同士が喋る、そんな世界が来ると思っています。 AI エンジニアのメンバーで開発を行いました。AI によってモノが生きるようになる。皆さんの持っている飲み物 から喋りだしたらとても面白い世界になると思います」と説明しました。

    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査委員長の河口洋一郎先生から質問が出ました。
    河口:生き物の生命を含むということは非常に面白いなと思ってるんですけども、モノを 生命化するということの発想の原点はどこだったんですかね? 
    異業種データサイエンス研究会(関東):私たちはハッカソンでこの作品を作成しまして 、そのときに目の前にあったのが缶コーヒーだったんですね。普段缶コーヒーって大量消費の社会の中でひたすら消費されて、愛着ってそんなに持ってないかなと思うんですけど、 AI が吹き込まれて喋るようになったらもっと愛着を持って面白いんじゃないか、とそういったところが発想にあります。 

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    河口: AI 同士で繰り返し会話をするというのが生まれたきっかけは何ですか? その苦労話を聞きたいな。
    異業種データサイエンス研究会(関東):別々の AI を使っていまして、それぞれ 人格が異なるんですね。面白い会話をしたら面白いだろうなと。そういうところがモノとモノを喋らすという発想の原点にあります。
    河口:会話の繰り返しのミニマルなところが良いなと思いました。

    <hikonyanの感想>
    誰しも一度は思い描くであろうモノが喋る世界が、現実味を帯びてきたなと感じました。AI アートで顔にも個性があるのが良いですね。 AI の発展により、さらに高度な会話のやり取りや表情の変化ができるようになると面白そうです。

    6.墨/Samさん

    Samさんの作品「墨」は、1滴の墨を通して世界観を表現し、さまざまな生命の形が同じ宇宙でどのように共存しているかを示す映像作品です。この作品を通じて、楽しく想像力豊かな旅を提供し、生きることやその意味について、新たな視点を与えることを目指したそうです。

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    墨を題材としたことに対して、次のように語っています。

    「私は書道に対して深い鑑賞の念を持っています。私は一筆一筆の筆致を感じることが好きです。それぞれの筆跡にはまるで独自の生命があるように感じます」

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    制作過程については次のように説明しました。

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    「全ての絵コンテの画像をMidJourneyで作成しています。多くのいきいきとしたビジュアルを制作しています。その後、LumaのDream Machineを使って各フレームにアニメーションをつけ、動きでそれらをつなげています。Lumaを用いたことで、清水に墨が広がる過程にもよく似合っており、その変化に富んだ動きが魅力です」

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    「音声については、SUNOを使用して音楽を作成しました。この作品には宗教哲学に根ざした概念が含まれています。いくつかの特別な言葉をプロンプトとして選びました」

    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査委員長の河口洋一郎先生から質問が出ました。なお、実際には英語で質疑応答が行われました。
    河口:この作品のコンセプトを教えてください。
    Sam:私の作品のコンセプトは、清水に墨が広がる様子を見たときに、人間について考えさせられたことにあります。その一つは、人生は常に変化するものであり、人間が社会に出たとき、私たちは常に誰からも攻撃されるものだからです。もう一つは、私たち以外の全ての生命や生き物が、お互いにつながりを持っているということです。
    河口:なぜそんなにエネルギッシュなパワーを発揮できるんですか? とても興味深いアイデアですね。

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    <hikonyanの感想>
    墨の質感も伝わってくるようなビジュアルと流動的な動きがとても印象的で、宗教的な要素を入れたという音楽とも調和がとれていて美しいですね。制作する中で生まれた、作りかけの段階の映像も見てみたくなりました。

    7.MOMO TARO/北澤和巳さん

    北澤さんの作品「 MOMO TARO 」は、昔話の桃太郎を題材にした、クレイアニメーション風の映像作品です。誰もが楽しめるような人肌を感じてアナログ感がある、AI っぽくない作品を目指して制作されました。

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    これまでずっとCG制作に携わってきたという北澤さん。今回、 AI を使った制作に挑戦するにあたって、かなり試行錯誤したと語ります。

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    「これは 画像生成の RunWay のプロンプトを入れて作っていたときの画像のキャプチャー になります。動画生成も同じRunWayのほうが相性がいいなと感じています。プロンプトに入れて漫画的な表現、クレイアニメーションな感じをかなり試行錯誤して作りました。AfterEffectsで並べて、カラコレやレンズエフェクトなどを入れつつ、音と合体させて動画として完成させました」

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    「今回桃太郎の諸々のストーリーを英語のラップにして面白おかしく楽しめる、親しみがある、温かくなる 生き生きとした動画を目指して作りました」

    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査員の諏訪道彦さんから質問が出ました。
    諏訪:この全編にほとばしるチャイナ感、まぶされたコミカル感について、どのようなことを意識されましたか?
    北澤:ラップをベースにしたところもそうなんですけども、クレイアニメーションとか漫画とか僕が幼少期から見ていた人形劇とかいろんなものの影響を受けてのコミカル感です。今回、思いっきりフルデジタルのピアノの作品なんですけども、その逆のアナログをどれだけ表現できるかということを意識してトライしました。

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    諏訪:鬼が死んじゃうところは爆発したりしますけども、それがコミカルに見えます。見る人を楽しませるっていうのが原点だと思いますので、コミカルさはとても好感が持てました。中国的なところは表現しやすかったからなんですか?
    北澤:ワールドワイドにラップを英語詞にした中で、日本でもありつつ、ちょっとアジアっぽさは許容し、楽しさとして位置付けたところはあります。どうしても作っているとOKテイクは打率3割くらいで、実際にはその何倍ものテイクを作ってるんですけども、その中でガチガチに固めずにちょっとゆるく広げて、アジア感というものは今回は許容して、幅を出して楽しむという位置づけを狙っておりました。
    諏訪:また新たな世界を期待したいなと思います。

    <hikonyanの感想>
    可愛らしいクレイアニメーション風な作品も AI でここまで表現できる、しかも6月から AI 生成を始めたばかりで、というのが驚きでした。なかなか難しい様子ですが、日本らしい作風のクレイアニメーションも見てみたいですね。

    8.100 TIMES AI HEROS/Masaさん

    Masaさんの作品「 100 TIMES AI HEROS 」は、生成 AI を活かしてキャラクターのナラティブ(願望、能力、役割の組み合わせから生まれるキャラクター特有の事情)、ビジュアルを創出するもので、新しいキャラクターのアイデアを100倍に拡張することを目指したシステムです。

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    生成 AI を活かしてキャラクターの創出の生産性を100倍にするものだとMasaさんは説明します。

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    「例えば、人間を傷つけたくない × 何でも食べることができる × 餓鬼の王がいたらどうでしょうか? キャラクターは物語の中で自身のナラティブに従って振る舞います。作家は自身の経験や願望を、ナラティブを物語に持ち込むことによってキャラクターにとって身につまされる問題、のっぴきならない状況を作り出します。物語とはキャラクターがのっぴきならない状況に向き合うことと言えます」

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    「このシステムでは、AI を使ってキャラクターの願望、能力、役割をスプレッドシートに格納します。スプレッドシートから取り出した情報に、さらに年齢・性別・種族をランダムに取り出し、組み合わせます。ポーズ、サイズ、カメラアングルを加えて画像生成用のビジュアルプロンプトを生成します。15分で100通りのキャラクターコンセプトとビジュアルプロンプトを生成することができます。同時に AI が新たな願望・能力・役割のアイデアを生成し、スプレッドシートに格納します。無尽蔵にほぼ独自のナラティブとビジュアルを持ったキャラクターを作り出し続けることができます」

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    続けて、Masaさんは観客に次のように問いかけます。

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    「AI が無尽蔵にキャラクターと物語を生成し続けるようになったら、人間はそれらを読み続けることができるのでしょうか? AI がナラティブを生み出し、ストーリーを生み出し、自らそれを享受し続けることができるなら、人間には何の役割が残るのでしょうか?」

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    Masaさんは自分の口で次のように語りました。

    「私は人間には社(やしろ)を造り、まつりごと、つまりフェスティバルを行う役割が残ると考えています。 古い神社とかに行っていただくと感じられると思うんですけども、社というのは 心地いい場所にあります。何千年も前から人々がその場所に集って心地よさを感じてきたということ、そしてそれがこれからも続いていくということ。そういう個人の生命の時間軸を超えた長い長い人の営みに接続するために、人間は社を造り続けてきたんだと思います。私は私の営みとして、そして社として作品を作り続けたいと思いますし、皆さんもぜひ何か作ってほしいと思います。皆さんにもできると思っています。そして、このように集まってフェスティバルを行えたら最高だと思いますので、ぜひ一緒に何か作っていきましょう」

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    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査員の安倍吉俊さんから質問が出ました。
    安倍: AI でこういうことができたらいいのになと、自分が思っていたまさにそういうものだったので、非常に興味を持ちました。これは一般の人も使うことができるのでしょうか?
    Masa: GitHub にコードを置いてあるので皆さん使えると思います。

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    安倍:これを使って自分で何か作品を作ってみましたか?
    Masa:僕にとって、 AI で作るとか手描きで作るとかはあまり問題ではなくて、とにかく作りたいという気持ちが強いです。これも自分の一つの作品だと思っています。人生が全然足りないと思っていて、これを使って自分の作るスピードも早くできたらいいと思いますし、そんな風に作りたい気持ちはあるけど全然時間が足りないなという人のための助けになった り、何かのアイデアのインスピレーションになったらいいなと思って作っているって感じです。
    安倍:これを使うと非常にアイデア出しが捗りそうでいいなと思いました。

    <hikonyanの感想>
    これぞあってほしい AI の姿ですね。今回はキャラクターの創出を手助けしてくれるシステムでしたが、設定値を変えれば他のアイデア出しやインスピレーションを得る手段にも応用できるかもしれません。システムのさらなる発展に期待したいですね。

    9.Qveria – 空想世界事典/koguさん

    koguさんの作品「Qveria – 空想世界事典」は、生成 AI を使って制作した、空想の世界の事典です。インデックスや個々の記事で構成されています。記事には、AI で生成した象徴的な画像と本文が記述されているそうです。

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    この事典の制作過程について、次のように語りました。

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    「仕組みとしては、だいたい 60 万文字のテキストを用意して、それを削って 20 万文字ぐらいにして RAG として LLM に渡しています。そこから事典の本文も画像生成用のプロンプトで作っています」

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    なぜこのような事典を作ったのか。koguさんは次のように説明しました。

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    「いろんな技術が登場するたびに変わってきたんですが、 AI はちょっと毛色が違って、ものすごくたくさんの表現を直接もう 1 回導出できます。それが可能になってくるときに、そのプロンプトというものすごくか細い方法でこれからやっていけるんだろうか?と考えたときに、可能な限り分厚い世界を用意して、それを通して何か創作をしていくっていうのが必要じゃないかと、こういう実験をしています」

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    「いずれはこの分厚い世界の部分自体が創作として流通をしたり、例えば誰かの世界を借りて自分だけの物語を作ったり、そういうことが可能になっていくんじゃないかと考えています。というのも、プロンプトで出てくるものっていうのが、モデルが十分性能が上がっていけばいくほど、プロンプトには忠実でそれ以外はもう AI にお任せっていう部分が大きくなっていって、もう AI 任せになってしまう。結局、この分厚い世界の部分にこそ、自分を込めてそれを通した創作にすべきじゃないか?ということで、こういうことをやっています」

    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査員の諏訪道彦さんから質問が出ました。
    諏訪: AI の力を借りたということよりも、空想の世界の事典を自分たちで作ったということに、驚く以外になかったですね。最初にこういうことを考えられたきっかけはあるんですか?
    kogu:元々名前をつけた世界を創るのが 8 つ目くらいで。子どもの頃にゲド戦記を読んで以来、世界を創るのは趣味みたいにやっていて、たまたま AI を使うのに題材として向いてそうだったので、自分の世界事典を作るっていうところからスタートした感じです。
    諏訪:辞書を作るのに「船を編む」という言葉がありますけど、この AI の場合はどういう風に言葉が適するのかわかりませんけども。一番苦労されたところはありますか?
    kogu:どういうものを作っていくか順序が大変で、作った後にはやっぱり自然科学的な動かしがたいものから定義していくべきなんだなっていうことが知見としてありました。その次が言語で、物の名前というのは一度つけると代え難いと感じながら設定をしていきました。

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    諏訪:ベースになっているストーリー、世界観っていうのはご自分の中にあるんですか? 今回はそのうちの 1 つの世界の事典になっているということですか?
    kogu:人間より強いものがいっぱい出てくる世界が好きなので、そういうことが可能な原理ってのはどういうものだろう?みたいなところから始めて、今回の世界を作っています。 
    諏訪:アニメーションになることもすごく 期待したいなと思います。

    <hikonyanの感想>
    事典を作るという発想もそうですが、 AI で創作していく中で分厚い世界が必要だろうと思い至るまでのお話がとても興味深いですね。紙の事典だと数年がかり、時には何十年がかりで作ると聞きますが、全体で何ページ分あるのか、どこまで細かく定義されているのか、制作にかかった期間など気になることがいっぱいです。

    10.Chronovital Resonance/米城陽さん

    米城さんの作品「Chronovital Resonance」は、Apple Watchを用いて取得した人間のバイタルデータ(活きた状態)をもとに AI で生成した音楽作品です。楽曲タイトルは「Chronovital Resonance(Chrono:時とともに変化する、vital:バイタルデータを、Resonance:音楽と共鳴させる)」です。

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    プレゼンは、ゲーム画面のようなテキストベースの会話を展開し、そのBGMに作品が流されていました。

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    音楽的な側面から作品のブラッシュアップ、音楽制作のためのコーディング、人間の心の状態を音楽で表すための具体策、すなわちエンジニア、クリエイター、そして人間としての働きを AI にお願いし、協働で制作したと説明します。

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    • 「テンポ(BGM)」歩数を線形補完してマッピングしたもの
    • 「ベロシティ(音の強さ)」心拍数を線形補完してマッピングしたもの
    • 「音の持続時間」ストレス変動性でマッピングしたもの
    • 「リズムパターン」ストレス指数に応じて変更したもの
    • 「メロディ」ストレス指数をもとに十二音技法を活用したもの

    という提案を AI から受けたそうです。

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    コーディングも AI が行い、midiで出力するためのPhthonのコードを書き上げました。そして、コードを米城さんのほうで実行してDAWで編集して完成させたとのこと。後半につれてテンポが速くなっていく、おどろおどろしい音楽になってきました。

    十二音技法というものを採用した背景について、次のように説明した後、AI に依頼する意義について説明していました。

    • midi作曲のコーディングはやったことがない。
    • 「人間が思う人間らしさ」には主観が入る可能性があるため、人間以外の存在が客観的に「人間らしさ」を考え「活きる」を表現したかった。
    • 仮にその発想があったとしても、それをもとに各音楽パラメータをマッピングするノウハウや発想がなかった。
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    すると、楽曲はさらに速くなっていきました。その理由について、制作期間が約3日間と短くて焦ったことや、側転や回し蹴りなど体を動かしながらデータを取得したことが想像できるような説明がされました。

    今回、作品を制作・応募しようと思った背景として、「音楽のポテンシャルを最大化したい」という目標があるとのこと。せっかくの機会なのでいろんな切り口でアプローチしてみたいとも思ったと説明していました。

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    <審査員による質疑応答>
    質疑応答では、審査委員長の河口洋一郎先生から質問が出ました。
    河口:今までにない エントリーだったんですけども、この「音」から始まったというその着眼点をちょっと聞かせていただければと思います。
    米城: 私は医学系の大学院に在学していまして、音楽を健康に活かす活動、その関連活動に取り組んでおりまして、学部生の頃から研究 だけではなく演奏や作曲といった形で音楽にも取り組んできています。それらの要素が合わさって、そのバイタルデータを音楽のパラメータと結びつけて、それを音楽として成立させたいという着想に至りました。
    河口:今後の発展について聞きたいです。

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    米城:先ほどのプレゼンテーション動画でもざっくりと申し上げたのですが、音楽の持つポテンシャルを最大化したいという風に大きく考えていて、その中でも私の専門と合わせて、音楽が持つ人の健康に対するポテンシャル、癒しを得られたり、元気を得たりといったそういったポテンシャルを高めたいというところがすごく大局的な部分にあります。そのための その一歩としてバイタルデータを音楽のパラメータに結びつけることで、今回の作品ではリアルタイムではなく私がコードを実行することで作った曲ではあるんですが、この曲をリアルタイムで音楽に変換することができることがスモールステップといったところです。
    河口: バイタルデータの活用に期待したいですね。ぜひ頑張ってください。

    <hikonyanの感想>
    バイタルデータをパラメータとして AI と協働で音楽を作るという発想が面白いですね。とても約3日で制作されたとは思えないクオリティです。制作過程の焦りや不安感はとても感じられますが(笑)。

    まとめ

    「第3回 AI アートグランプリ」の最終審査である、ファイナリストたちによるプレゼンテーションの様子をお伝えしました。どの作品も制作者の意図や想いが詰まった、未来の AI への期待感が高まるような発表ばかりでした。

    誰がどの賞を受賞したか気になる方は、結果発表の様子をまとめた記事を公開中ですのでぜひご覧ください!

    また、今回の審査会の様子は AI アートグランプリの公式チャンネルに動画がありますので、気になった方は動画もぜひご覧ください。

    最後までお読みいただきありがとうございます。
    主催された清水亮さんほか関係者の皆様へも感謝を記させていただきます。発表された作品の作家の皆様へ、作品の引用をさせていただいております。もし可能なら作品へのリンクなどもいただけましたら幸いです。

    AICUでのAI関連イベント取材依頼はこちらから

    この記事への感想は X@AICUai へのメンションをつけていただけますと幸いです。分厚いレポートを書いてくれた AICU編集部 hikonyanさんへの声援もお待ちしております!

    Originally published at https://note.com on Nov 29, 2024.

  • 激戦!名作揃いの「第3回 AI アートグランプリ最終審査会」(前編)

    「AI をもっと身近に」をコンセプトとして始まった AI フェスティバル。その第2回となる AI フェスティバルが11月9日(土)にベルサール秋葉原で開催されました。今回、その中で行われた「第3回 AI アートグランプリ」の最終審査会の様子をAICU編集部のhikonyanが前後編でお伝えします。 

    今回の審査員の紹介

    審査委員長を務めたのは、メディアアーティストで東京大学名誉教授である河口洋一郎先生。

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    イラストレーターである安倍吉俊さん。

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    名探偵コナンなどのアニメの企画プロデューサーである諏訪道彦さん。

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    この日は欠席でしたが、映画監督の樋口真嗣さん、弁護士の柿沼太一さんの計5名による審査が行われました。

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    AIアートグランプリの概要

    近年にわかに注目を集めている作画 AI や作曲 AI など、人間の芸術的想像力を高める AI の進歩を受け、来るべき時代に人間と AI が共生し、人間がより自らの能力を拡張するため、2023年3月にスタート。第3回となる今回は、新たに AI アート グランプリ絵画部門も追加されました。総合部門43作品、絵画部門96作品が集まりました。10月初旬に Web サイト上で一次先行審査者が発表され、今回は審査員の皆様による最終審査会と表彰式が執り行われました。

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    グランプリの審査基準は次のようになっています。

    ●        人間らしい表現のための手段として AI を正しく活用していること。

    ●        独創性のある表現が行われていること。

    ●        他者の権利を直接的に侵害していないもの。

    ●        日本国内法を遵守していること。

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    気になる賞品ですが、絵画部門ではグランプリに輝いた方には賞金5万円と副賞として GALLERIA R-Series ノートブックモデルが送られます。GALLERIA 賞に輝いた方には AI フェスティバル2025 Powered by GALLERIA のメインビジュアルとして作品が使用されます!

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    総合部門では、グランプリに輝いた方には賞金15万円と、副賞としてGALLERIA U-Seriesデスクトップモデルが授与されます!

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    審査委員長による挨拶

    審査委員長の河口洋一郎先生からの挨拶では、次のようなお話がありました。

    <以下、河口洋一郎先生のご挨拶より>

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     「激動の AI 時代に入ってきていて、その中で僕たちが AI に対してどのくらいの関わりを持って良いものを、コンテンツを作れるかっていうのは結構重要なことです。今日のこのグランプリ審査の出来具合を見ながら、未来に向けてエネルギーを得たいなと思います」

    「皆さんご存知なように、 AI って賢くて出力されるものは似てるんですよね。だけど、アルゴリズムがわからないところを端折って動かすと破綻する場合もあるんです。文章のほうもそうだと思うんですけど、いわゆる映像だけなくて音楽のほうも含めて、対談とかしていると今はAIが完璧に理解してそれを出してくれるのは難しいかもしれないけど、近い将来、ひょっとしたらそれに追いついてくれることを何か感じています。だから、今のAIをまだまだといっても半年後、1年後、2年後はわからないですね。乗り越えられるかもしれない。これを肝に銘じてコンテンツを作っていくほうが良いかなと思います。 

    それと世界中で新しい AI 時代のコンテンツがどんどん出てきているので、僕らも高めるために各自の専門分野からどんどんそれを利用して自分を高める。僕らは眠っている才能の50、60%しか使ってないかもしれないです。眠っている40%を AI で高めるとか、その方向で考えていったほうがこれからの突破口かなって思うんです。だから、AI のこれからのある特異点を突破口に新たな未知なる世界を探していくことを期待して、新たな流れを作っていってほしいなと思います。

    今日の AI グランプリは基本的にデジタルワールド、デジタル空間の出来事ですけど、僕たち審査員はみんな生きています。リアルワールドが面白くないとデジタルワールドも面白くないです」

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    「これは10mくらいの彫刻です。エアプレッシャー、空気圧で動いているんです。要するに AI でこういうリアルとどうコラボするか、リアルワールドとデジタルワールドをつないでいくという日本独特のデリケートな世界をどう高めていくかっていうのが重要かな」

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    「これは2mくらいのカニをリアルに作ったんですね。これは AI で何回もやり取りして動かすんです。こういうメカニックな動きを」

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    「これは逆にさらに AI を使って宇宙カニを進化させていく、そのときの挙動、ロコモーションとかですね。そういうのを含めてどんどん専門的にさせていく、そんなことを考えています。

    今日言いたかったのはせっかく AI グランプリを始めたので、ぶっ飛んだような新しい世界がこのグランプリで生まれてほしいと期待しています。皆さん各自が大衆の波に流されるんじゃなくて我が道をゆく、自分を鍛える AI としてやってもらったほうがより良いかなと思います」

     

    河口洋一郎先生の熱いメッセージによって、今回のコンテストへの期待、ワクワク感がますます高まってきました。

     

    最終審査会 – プレゼンテーション

    審査委員長による挨拶の後は、総合部門の最終審査に残った10名による最終プレゼンテーションが行われました。プレゼンテーションのルールは以下のとおりです。

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    プレゼンテーションの様子は後日別途記事にまとめますので楽しみにしていてください!

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    絵画部門の表彰

    プレゼンテーション終了後、事前に最終審査が終了していた絵画部門のGALLERIA賞とグランプリの表彰式が執り行われました。

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    絵画部門 GALLERIA 賞

    絵画部門のGALLERIA賞に輝いたのは、はんなり女史さんの「希望の夜明け」。タイトルのとおり、明るい未来に向けて手を伸ばしていて、希望を感じさせる一枚ですね。AIで生成された絵とはパッと見では信じられない、油絵のようなタッチがとても印象的です。

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    この「希望の夜明け」について、GALLERIA 賞のプレゼンターである株式会社サードウェーブ取締役社長・最高執行責任者の井田晶也さんから講評がありました。

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     <株式会社サードウェーブ・井田晶也さんの講評>

     (はんなり女史さんの作品について)「活きる」というテーマの中で、デジタルワールドとリアリティのワールドっていうところの融合と、子どもが光に向かって手を広げてそこに植物や動物や昆虫がいるという姿が「活きる」というテーマと「生命力」、live のほうの「生きる」のほうとの両方の意味合いで非常に深く刺さりました。

     はんなり女史さんは今回の受賞を受けて次のようにコメントしました。

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    はんなり女史と申します。本日は GALLERIA 賞を頂き、喜びで胸がいっぱいです。「希望の夜明け」はどんなときも皆様が希望を持ち続けられますように、願いを込めて生成しました。今回受賞した GALLERIA 賞を糧に、私はこれからも皆様の心に響く AI 画像生成に励んでまいります。本日は本当にありがとうございました」

     

    絵画部門 グランプリ

    絵画部門のグランプリに輝いたのは、owl_digitalartさんの「不易流行」。葛飾北斎を思わせる迫力ある大波、そこから生まれる鳥やチョウチョ。とても力強い生命力を感じる作品です。GALLERIA 賞を受賞した作品と同様、まるで人の手で描いたような油絵のタッチで、平面なはずなのに手触りの質感が感じられます。

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    この「不易流行」について、副賞のGALLERIA を提供する井田さんからコメントがありました。

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    <株式会社サードウェーブ・井田晶也さんの講評>

    (owl_digitalartさんの「不易流行」について)油絵かと思うような非常に迫力があって、この赤色の発色の仕方、その赤がまた波としてはじけたところから鳥になったりとかチョウチョになったりしているというところがすごく印象的。この AI の中でも熱い、ふつふつとしたものがここから湧き出ているっていうような情熱をすごく感じた、印象に残る作品でした。

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    そして、審査委員長の河口洋一郎先生からの講評も行われました。

    <審査委員長の河口洋一郎先生からの講評>

    絵画部門は今回から始まった部門ですけども、やっぱりオープニングで言ったように、「AI という技術を乗り越えて、その先に行きたい」っていうのが最初から願いなので、副作用を乗り越えて欲しいなと。井田社長もおっしゃったように、非常に本物のようなテクスチャーをやっているのも愛した理由の一つです。フラットな平面なんですけども、あれを逆にもうたっぷり重量感あるような感じで、AI 的なものを乗り越えて未来の希望がいっぱい見えてくる、前向きなところは非常にポジティブでいいなと思いました。今後は国際的にこの AI グランプリを世界にドンと出すときに、やっぱりこういう作品は象徴的な役割があるなということで、審査員の中で好評を得ました。おめでとうございます。

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    owl_digitalartさんは今回の受賞を受けて次のようにコメントしました。

    「今回のイラストを作るにあたって考えたことは、海外のサービスを使いながら日本らしさをいかに表現するか。そして、過去・現在・未来、これを全てレイヤードすることで過去の葛飾北斎の描いた波、作っている現在、そして AI を用いて作り出すことの未来。そういったいろんな思いを一枚に込めました。過去と現在と未来、全てにおいて人間は水とともに生きてきました。水がないと人間は生きてはいけません。命を得る。すごく重要な要素です。しかしながら、悲しい現実ですが、昨今水によって命を落とす方々も大変多くいらっしゃいます。その水とどう向き合っていくか。AI とどう向き合っていくか。そういった一枚に仕上げております。そして、これも常々考えていることですが、我々は AI を使うときに言葉を用いています。こんなに言葉の意味合い、使い方、文章、さまざまな文法体系が見直される時代になったということは、ある意味で原点回帰かもしれません。非常に面白い時代になったと思います。よって、未来に向かいながら過去を振り返る。これも人間の非常に重要なファクターだと考えております。そういったいろんな思いを込めて作りました1枚が、このような賞を頂くことができまして、大変嬉しい思いでいっぱいです」

     

    総合部門の表彰

    最終審査会の終了後、いよいよ総合部門の発表です。どの作品がグランプリに選ばれたのかドキドキですね。

    総合部門 佳作

    佳作には以下の5作品が選ばれました。

    異邦人」志村翔太さん

    https://eizo100.jp/video/77353

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    付喪神ジェネレータ」異業種データサイエンス研究会 (関東)さん

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    MOMO TARO」北澤和巳さん

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    Qveria – 空想世界事典」koguさん

    https://qveria.allai.art

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    「Chronovital Resonance」米城 陽さん

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    総合部門 優秀賞

    総合部門優秀賞には以下の3作品が選ばれました。

    ゼロイチ、「ニ」」野火城さん

    https://note.com/nobisiro_2023/n/nb64258d32855

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    AIとkawaiiの融合」Starm.productsさん

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    「墨」Samさん

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    総合部門 審査員特別賞

    総合部門の審査員特別賞に輝いたのは、Masaさんの「100 TIMES AI HEROES」でした!

    https://note.com/msfmnkns/n/naa7eaadc5054

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    生成 AI を活かしてキャラクターのナラティブ(願望、能力、役割)、ビジュアルを創出するもので、新しいキャラクターのアイデアを100倍に拡張することを目指した作品です。これがあればさまざまな物語も作れてしまいそうです。AI が持つ可能性を最大限に活かした作品に感じられますね。

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    審査委員長の河口洋一郎先生は次のようにコメントしました。

    <審査委員長の河口洋一郎先生からの講評>

    今年はもうほんと激戦区で、審査員の皆さんで方向性も違うし、みんな非常に個性的で、この最後のノミネーションに入った作品を選ぶのは大変でした。苦渋の選択という感じはします。来年以降更に発展するために、発展の伸びしろを含めてですね、審査員一同で無事に選ばれました。おめでとうございます。

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    Masaさんは今回の受賞を受けて次のようにコメントしました。

    「光栄でございます。AI で何でもできるようになると思うんですけども、何でもやりたいのは AI ではなく、やりたいのは私たちだと思います。私はもう作りたくてたまらないので、AI を使っているということだと思いますし、皆さんも別にアートじゃなくても表現したいことってあると思うんです。それはアートである必要は全然なくて、例えば毎日自分が食べるご飯とかを気持ちの良いものにしたいですよね。見た目で自分が食べたいと思うものにしたいと思います。仕事の企画書だって人が読んで気持ち良いものにしたいと思うんです。そういうのが、皆さんの中の表現したいという気持ちだと思うので、皆さんの中にも表現したいという気持ちはきっとあると思うんです。それを見つめていただいて、その小さな炎かもしれないですけど、それを AI で燃え上がらせてもらって、今回は総合部門も40数名、それから絵画部門は90名だったと思うんですけど、来年は10倍ぐらいになってほしいです。参加者が増えて審査員が大変だと思うんですけど。もっとみんなが表現できる世界になったらいいなと思いますので、ぜひ皆さんも取り組んでみてください。今度は皆さんが主役になってほしいと思います。よろしくお願いします」

     

    総合部門 グランプリ

    総合部門のグランプリに輝いたのは、elimさんの「象牙のナイフ」でした!

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    実写か CG か AI か見分けのつかない、そして AI 特有のバグをバグとして見せない映像作品を実現したミュージックビデオです。プレゼンテーションの最後には、MVの世界をさらに表現するラップを披露しました。この作品の一部分を見ただけでも凄まじいクオリティで、何で作られた作品なのかが気になって、より作品に引き込まれます。これぞグランプリにふさわしい作品ですね。

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    副賞の GALLERIA を提供した井田さんからの講評も行われました。

    <株式会社サードウェーブ・井田晶也さんの講評>

    絵画部門と同じように、このリアリティとデジタリティというのがすごくうまく融合していて、とても不思議な感覚がありました。あと、音楽と映像のリンクがすごくされていて、すごく入っていきやすい作品だったなと。プレゼンテーションでのラップもすごく良かったです。僕は審査には入ってないんですけれども、すごく印象に残った作品でした。

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    elimさんは今回の受賞を受けて次のようにコメントしました。

    「選んでいただいてありがとうございます。AI と作業してると実写の良さがわかってきて。実写を撮りに行ったときにお金と時間はかかるんですけど、風の匂いだったり、空気だったり、そういう実写の良さがわかるという体験もしました。なので、これからは実写の良いところ、CG の良いところ、そして AI の良いところを全部取って作品を作っていこうと思っています」

     

    最後に審査員3名から総評が行われました。

    <審査員の安倍吉俊さんからの総評>

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    1回目からずっと審査をしてきて、今年は AI 固有の違和感みたいなものがあまり感じられない作品が増えました。今回優勝された作品もそうだと思います。今までずっとこういう表現をしたいんだけど、AI がプロンプトを打ってもこういう風にしか出力してくれないからこうなってしまった部分とか、あるいは AI はこういう風にしか出してくれないのでその表現を前提に人間のほうが妥協するというか、AI のほうにちょっとすり寄る形で表現するものがどうしてもあったと思うんですよ。だからこそ、突飛なものが出たりもしたんだけど。

    今年は非常に全体的に作品の粒が揃ってきて、今言ったみたいに違和感がないというか、人間が作ったように見える作品が僕の中では非常に印象に残りました。僕みたいに手を使ってまだ描いている人間にとっては非常に恐ろしいと同時に、非常に未来を感じるし、自分もそういうものを何かうまく取り入れられたらいいなと思いました。

     

    <審査員の諏訪道彦さんからの総評>

    参加された皆さん、本当にお疲れ様でした。私も第1回から審査員をやっておりまして、AI という言葉もやっぱり世の中でひとり歩きしてるようなムードはいっぱいあると思います。我々アニメーションの世界でもそうで、AI は 私たちには今のところ新しい大きな武器の筆みたいな感じです。アニメでは背景とかいろんなキャラクターも含めて出ているんですけども、今回の作品の絵は AI というものの過渡期に違いないと思う確信が一つありました。

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    それは AI の中にもジャンルがあるということです。当然そのジャンルは漫画やアニメ、世界観、生き物、クリーチャーみたいなものがあると思うんですけども、そのジャンルの中でどういう風にみんなを魅せて表現していくか。その表現されたものを我々見る人間はどう楽しめるのか。その辺のことをすごく問われた選択でした。非常に激戦な作品が並ぶ中で、今回はやっぱり説得力があった映像だなと思いました。

     

    こういうのを見て感動はもちろんですけども、驚くことと、そして心の中に染み込むこと。こういう風に映像が持つ力をきちっと待たせるということが、AI でもっていうのはちょっとおかしいんですけど、AI で表現できるようになってきたっていうのは明らかな進歩だと思いますし、これからもっと期待したいなと思います。それぞれのジャンルは絶対にあります。好きなジャンルを選ぶというよりも、やっていく。そういう時代になると思うんですけども、そこを目指して皆さんに頑張っていただきたいなと思っております。本当にお疲れ様でした。

     

    <審査委員長の河口洋一郎先生からの総評>

    オープニングでも言ったんですけど、このデジタルスペースをどんどん進化させるために AI っていうのは、その魅力的な世界を作らないといけないんですけど、やっぱり自分を高めながら AI を使っていってほしいなと。やっぱり AI と自分が高め合う、これに尽きるなって。軽く刹那的に使う AI じゃなくて、日常的に巡回していく、AI とそういう世界になっていくと本物になるかなという気がします。

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    デジタルスペースにはやっぱりリアルスペースも重要なんですけど、リアル、つまり個人の世界が面白いとデジタルスペースも面白いんです。今回もそうだし、第1回もそうだったけど、デジタルスペースとリアルスペースが混在、巡回しているんですね。あれは非常に良いかなと思います。最後のリアルなスペースでのラップ、良かったです。やらないよりはやったほうが勝ちです。

    だから、来年以降、AI グランプリはデジタルスペースの中のことだけど、リアルがそれを支えているんだよという、血と肉のリアルな魅力的な世界に持っていきたいと思います。さらに来年からはジャンルの可能性も高めたいので、そちらのほうでまたどんどん進化していってほしいです。よろしくお願いします。今日はありがとうございました。おめでとうございます。

    まとめ

    第3回 AI アートグランプリの最終審査会の様子をお伝えしました。審査員のコメントにもありましたが、AI は過渡期にあり、実写、CG に続く新たな表現として確立しつつあるんだなと思わせる作品の数々でしたね。特に総合部門のグランプリ作品は圧巻でした。どこまでが AI でどこまでが実写やCGを使っているのかとても気になるので、いつか制作過程も見てみたいですね。

    今回は最終審査会の様子をお伝えしましたが、総合部門ファイナリスト全10名の最終プレゼンテーションの発表内容や質疑応答などの様子も後日記事を公開予定! 楽しみにお待ちください!

     AICU編集部 hikonyanさんへの声援もお待ちしております!


    編集部注・作品へのリンクはAICU編集部の手作業による調査によって付加しています。公開されている作品への適切なリンクが見つからなかった作品について、情報をお持ちの方は X@AICUai までご一報いただけますと幸いです。

    Originally published at https://note.com on Nov 27, 2024.

  • 「なんかいい展」開催レポート

    「AIの現物展示をしよう」
    「なんかいい」という、「曖昧で深い言葉」、なにか心に引っかかる。
    6人のAIイラストレーターが集まって、「なんかいい展」が2024年10月26日に開催されました。
    「つくる人をつくる」をビジョンにするAICUでは開催を応援する意味で、参加クリエイターにロングインタビューを実施しました。
    各クリエイターの作品や、次回の開催についての情報もあり!
    最後まで味わってお読みください。

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    展示会場の様子 (左: Sentaku さんの作品 / 中: Naf / 右:高高度墜落 さんの作品)

    参加クリエイター3名に1時間半のロングインタビューを実施しました。

    「なんかいい展」

    AI illustration group exhibition “kind of like ******”
    東京の門前仲町で、2024年10月26日に1日だけ開催されました。

    いままで大きな企業や展示会でしか企画されていなかったAI画像祭といった企画を「最初はミニマムに」ということで深川ガレージさんをお借りして小規模に実施したかった、ということです。
    素敵なウェルカムボードをご紹介。

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    ”なんかいい”って、曖昧なようでいて、実は深い言葉だと思いませんか?
    はっきり言えないけど、なぜか気になる、なにか心に引っかかる。
    でも、だからこそ価値がある。
    今回は6人のイラストレーターが、この”なんかいい”をテーマに、
    それぞれの視点で新しい感覚を探求しました。

    AIが作るアートに価値はあるのか?
    人間の創造性を奪うのでは?
    AIに魂はないのでは?

    そういう疑問の声もあります。
    けれど、私達はこう考えます。
    AIアートは、人間が想像しなかった視点を提示してくれる。
    偶然が生む美しさや、予測不可能な世界が広がっている。
    それが今の時代に生まれる新しい「なんかいい」かもしれません。

    この展示で、あなたの心にも”なんかいい”が見つかることを願っています。

    【メンバーの紹介】

    集まったメンバー6人は、Sentakuさんの呼びかけにより、SNSもしくはdiscordコミュニティで集まってくれたそうです。

    Sentaku(せんたく) さん

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    Xアカウント:@sentakusound
    https://x.com/sentakusound

    廃材 さん

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    Xアカウント:@haiz_ai
    https://x.com/haiz_ai

    marukichi(まるきち) さん

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    Xアカウント:@marukichi667944
    https://x.com/marukichi667944

    ☆今回のインタビューに参加できなかったメンバーさんからは、メッセージ・プロフ、作品展示写真をご許諾とともに頂いております。

    Naf さん

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    アカウント:@naf_aiart
    https://x.com/naf_aiart

    【Naf】
    初めまして、Nafです。
    AIを使ってイラストを生成しています。

    少女というキャラクターを通して
    その場の空気や温度を感じられるような
    作品を作りたいと思っています。

    人には色々な感情があって
    背景には必ずその理由があります。

    皆さんの目に触れた時に
    心に残る何かがあれば幸いです。

    高高度墜落/kkdfall さん

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    アカウント:@kkdfall
    https://x.com/kkdfall

    【高高度墜落/kkdfall】
    aiをツール化したい墜落さんです。あの日見た景色から落下しています。
    日常の少し隣にある瞬間を捉えたいと考えて取り組んでいます。

    Takoyama さん

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    アカウント:@takoyama9zo
    https://x.com/takoyama9zo

    読者のみなさま、はじめましてTakoyamaです。
    私は色彩とアルゴリズムの交差点に身を投じ、コードと創造が交わる場所で美しいなにかを見たいと願い、日々模索しています。
    AIが考える命の美しさが何かの拍子に現れたらいいなと考えています。

    【どうして「なんかいい展」を開催したの?】

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    (看板)

    ――インタビュワーのAICU media編集長・しらいはかせ です。このたびは「なんかいい展」のご開催おめでとうございます。まずは普段どんな活動をして、何を考えているのか、また何故「なんかいい展」を開催したのかについてお聞かせください。

    Sentaku「みんなに会って話したい」

    ――今回のグループ展の発起人となったSentakuさんですが、どういうモチベーションだったのでしょうか。

    Sentaku:ふだんはテレビ業界のサウンドデザイナをしています。けっこうAIは、この仕事と近いところがあって、自分は「サウンドデザイナーをしているけど楽器はできない」という人材なんです。AIでイラストレーションを作っていくのもとても似ているところがあって。仕事はいつもクライアントワークなので「自分を表現するところが欲しい」とおもってAIアート活動をはじめました。最近は「みんなに会って話したい」、「コミュニティとしてみんなに会ってみたい」と思って企画しました。

    ――その芽生え……。なるほど興味深いです。楽器とかも結局そうなんですよね。演奏するっていういわゆる演奏家の人がいたとしても、楽器を上手に扱えるか 扱えないかみたいなところの軸も当然あるし、さらにそのお客さんに対しての「商品性がある演奏」とか「楽曲などがやれるかどうか」みたいなところの軸もあって……。運よくそのテレビ業界で生業になり糧なりを得ているんだけれども、やはり「表現したい」、「自分の考えたことを表現したい」と思った、と。道具を使いこなして演奏するみたいなところから、画像生成 AI の演奏家として、ひとりひとりのクリエイターとして成立していて、さらにそれが「他の人たちに会いたい」、「作品を通して人に会いたい」っていうモチベーションに育っていったってことなんですね 。

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    Sentaku さんの作品

    marukichi「自分の好きなものに”手綱”をとってもらう」

    marukichiです。普段はIT系でカスタマーサクセスを担当しています。イラストレーションは我流ですが、画材を使って描いたり、立体造形、工芸などをやってきました。AI画像生成とは MidJourney を2022年夏頃から触っていて、デザイン関係でロゴとかを作ったりして「時短ツール」として使って来ました。いままで作ってきたもの、表現できるようになってきたこともあり、X(Twitter)で公開し始めたのは2023年の7月ぐらい。最初はジャンル問わず出していたのだけど、ここ半年ぐらいは「青とメガネ」にこだわっています。

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    会場の様子 (左: marukichiさんの作品 / 右: Sentakuさんの作品)

    ――「最初はジャンル問わず出していたのだけど」ということなんですが、「AIアートならではのスランプ」みたいなのに入ることってありますよね。なんでも出せちゃうし、みんなとの差も生まれづらいですし。

    marukichi:そうなんです。「自分の好きなものに”手綱”をとってもらう」という感じです。

    ――たしかに、その「好きなものドリブン」って大事ですよね。AICUの所属クリエーター・犬澤某さん(@insbow)も「(個人作品では)オーバーオールを着た犬しか描かない」って言ってシバリを入れてますし、そういう「制約」って、クリエイターにとってはとてもいい挑戦になるんですよね。

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    会場の様子(左: Nafさん / 中央左: 高高度墜落さん / 中央: Takoyamaさん / 右: 廃材さん)

    廃材「”AIイラストレーター”という表現にも、複雑な想い」

    ――廃材さんは、どんな活動をされてきたのですか?

    廃材:AIの流行が始まってすぐの頃は、叩かれがちだったり、著作権問題だったりが、重くありました。
    その中で自分としては「クリエイティブをネットに廃棄していく」というスタンスで活動してきたんです。いわゆる『AI絵師』と自分は違う、「廃材」として。でも『捨てている』というスタンスを取っている反面、魂を込めて作品を作っているので、『どこかの誰かの心に触れてほしい』という気持ちも長く持ち続けてきました。「なんかいい展」というグループ展を通して、それを感じてみたいと思いました。”AIイラストレーター”という表現にも、複雑な想いがあります。

    ――いいですね!とても複雑で、いいと思います!AICU mediaも生成AIでの発信活動を2年ぐらい続けて来ましたが、商品としてパブリッシングを行うメディアによって「AI画像生成を”描く”と表現しない」とか、セミリアル、フォトリアルのみを扱い「イラストレーションを扱わない」といった制約を行ったメディアもあります。でも、社会との対話を作品を通して行いたい、という気持ちが芽生えていく姿はとても尊いですね。

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    高高度墜落さん作品
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    Nafさん作品

    【やってみて、どうだった?】

    「なんかいい展」は「見に来る人もお金がかからないように」ということで、「来場無料、グッズ販売などもなしで」、というコンセプトで実施されたそうです。

    ――制作の過程での苦労などをお聞かせください。

    Marukichi:もともと手でアナログアートをやっていたんです。でも時間がかかるので、だんだん、できなくなってきている。それが「AIでイラストを生成できる」という時代がやってきて、「好きなものをトンマナにしよう」と決めて、最近は「青色と眼鏡」でこだわっています。

    ▼展示1枚目

    ▼展示2枚目

    ――ほんとうに!青色と眼鏡、なんですね。ネットでの反応も共感が多く見られますね。

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    展示された marukichiさんの作品

    ――廃材さんは、”普通のプリントではない作品”なのですね!?

    廃材:アクリルの塗料を使って立体感を加えました。キャラクターの眼の部分など。これは、やってみて、お客さんからも反応が良かったです。

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    立体的な質感を持つ廃材さんの作品(スタッフ撮影)

    ――廃材さん、いかがでした?社会に自分の物としての作品を発信してみた、ということなのですが。

    廃材:ホント、一人ではできなかったと思うので、Sentakuさんには感謝です。

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    Takoyamaさん作品

    【お金、どれぐらいかかりました?】

    ―― 来場無料で開催されているのですが、クリエーター側はどのような費用感なのでしょうか?

    Sentaku:ひとりおよそ2万円ぐらいかかっていますね。ギャラリーの場所代が6万円、印刷費用はA2サイズが1枚5,000円、といったところです。

    ―― ギャラリーも大判印刷もけっこうかかりますからね……。ちなみに印刷所についてもお聞きしていいですか?

    Sentaku:今回は「ソクプリ」さんですね  https://www.ooban-senmon.com/

    廃材さん:私は実はたくさん失敗しているので、もっとかかっていますね。

    ―― ああ~!でもそれってたぶん「上手になっても何度もプリントして品質あげちゃうやつ」ですよね……僕も写真出身なのでわかります……!!!

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    廃材さんの作品

    やってみる前は「不安」、やってみたら「みんなあたたか」。

    ―― 来場された方々の反応はいかがでしたか?

    Marukichi:一言でいうと、やって見る前は「不安」、やってみたら「みんなあたたか」、という感じです。来場された方々にも、画像生成でイラストレーションを作っている方々も多くいらっしゃって、「こうやってます」と、変に自分を隠す人もいないし、むしろ「アピールされた」という感想があります。作ってる中の人のことを聞きたい、みんな「やりたい人はたくさんいるんだな」、それを肌で感じました。

    ―― それはおもしろいですね(笑)

    Sentaku:AIアートに対する批判もあるかと思ったのだけど、「なんかいい」に共感する方、共通することが多くて。これこそがアートだと思いました。
    「なんで呼んでくれなかったんですが」とか、「次は声かけてください」とか言ってくださって。それがうれしかった。みんな表現したいんだ、とか「実物を通して伝わったんだ」と思いました。

    ―― 一番大変だった事って何ですか?

    Sentaku「この企画を、とにかく、成立させるんだ!」……これをメインに考えていましたね。全部が初めてだったので。(お客さんが)AIイラストを見た人がどう感じるのか。AIで、デジタルだったものを、物体化してみんなに見せるってことが一番大変だったことかもしれない。

    (僕は仕事柄、AI クリエイターの人たちをたくさん見てるところもあるのですが)ソロでやっている方は「心理的不安」みたいな「まだ同人誌レベルには一般化していないかも」といった不安がある中で、「やる前 、やった後」つまり、やる前は『すげえ 大変だ』と思ったけど、やってみたら『いい話』といったエピソードってありませんか?

    廃材:深川ガレージ(Fukagawa Garage)さんが、ギャラリーの道路沿いに大きな看板を出してくださって……これを見て来場された方々がいらっしゃいました。「開催した」ってことに、価値があると思っています。

    AIアートがギャラリーイベントを通して社会との接点を得る瞬間をみた

    ―― 白井:ネットで出会いようのない人たち、「深川ガレージでしかありえなかった出会い」とか、いただいた意外な感想とか 、あれば。

    Marukichi:サラリーマン、仕事帰り、という感じの方が写真を撮ってふむふむ、という感じで帰っていた。そういうのもいいとおもいました。

    Sentaku:オーナーさんの娘さん(未就学児か小学校低学年ぐらい)が見に来てくれたのが嬉しかったですね。で、「かわいい!」「かわいいけど女の子ばっかり!」って。

    ―― あるあるですね(笑)!女の子じゃないの モチーフにしたらどうなんだろう? みたいな発想はまさに「社会に作品を出してみて初めて気づく新たなチャレンジ」みたいな感じで尊いですね。
    AIアートがギャラリーイベントを通して社会との接点を得ていく瞬間』みたいな……。 

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    会場となった 深川ガレージ(Fukagawa Garage)さん

    Sentaku:プロジェクターを使ってPCの映像を写して…ということもやっていました。その場でNijiJourneyをいじってみたりしてみました。その後、お客さんが「NijiJourneyはじめました」って言ってくれたりもして。

    ―― なるほどそういうワークショップとか需要ありそう。AICUとしてはぜひ 提供したいですね。

    廃材:スクリーンさえあれば、リアルタイムで飾れるわけですよね。AIアートならではの展示方法もありそう。

    ―― さいごに告知等ございましたらどうぞ!

    Sentaku:Sentaku 、廃材、marukichiの3人が「第3回 オオカミの森」展の東京開催にAIイラストを出品します。販売もあります。

    アートで紡ぐ『オオカミ』の新たな物語

    https://forest-of-wolf.crywolves.net

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    🐺第3回「オオカミの森」東京開催🐺
    日時:11/5(tue)~11(mon)
    場所:西武渋谷展 B館5階
    時間:10:00~20:00

    『オオカミ』ってこんなにもカッコよくもあり、愛らしい存在だと知ってほしい!
    そして、日本から姿を消したオオカミが帰ってこれる森を創っていく。
    そんなきっかけになるイベントを目指しています。
    オオカミ好きのクリエーターたちが創る、オオカミ関連のアート、グッズ、雑貨などの作品が一堂に集結するPOPUP。

    おもしろそうな展示会ですね!しかももうすぐ開催ですね!これは楽しみです。

    Sentakuさん、廃材さん、marukichiさん。お忙しいところロングインタビューにご参加いただき本当にありがとうございました!

    AICU mediaは「つくる人をつくる」を応援しています。

    展示会やクリエイティブAIイベントの告知や開催レポートの掲載ご相談・ご出稿はこちらのフォームか、 X@AICUai までお問い合わせください。

    https://j.aicu.ai/pubreq

    ☆こちらの記事はAICU media編集部の方針で期間限定無料配信とさせていただきます

    印刷版「AICU Magazine Vol.6」に収録予定です。
    https://ja.aicu.ai/mag

    もちろん本記事をご購入いただく事は歓迎です!
    ☆シェアしていただいたほうが嬉しいです☆


    この記事の続きはこちらから https://note.com/aicu/n/nb669d5eca8f6

    Originally published at https://note.com on Oct 31, 2024.

  • 【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(4)AWSで作る! 全部入りAIツール

    2024年9月9日開催の「AWS AI Day」レポート第4弾!今回は、AI Dayで行われたワークショップの様子をお伝えします。

    ▶前回の記事はこちら
    【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(3)突撃!隣のAmazon Bedrockユーザー ~YouはどうしてAWSで?~

    https://aws.amazon.com/jp/events/ai-day

    今回のワークショップの目標は生成AIを用いたアプリケーションをAWS上に構築することです

    生成AIハンズオン:Amazon Bedrock GenUで実践体験

    今回の目玉企画の一つである生成AIハンズオンでは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 Data & AI 事業本部 シニアAI/MLソリューションアーキテクトの 呉 和仁 氏が解説を担当。

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    参加者は、Amazon Bedrock を用いた生成 AI ソリューションである Generative AI Use Cases JP (GenU) を使用し、AWS Bedrockを使った社内向け生成 AI アプリケーションを実際に体験しました。

    Generative AI Use Cases JP (略称:GenU)

    https://cdn.iframe.ly/0NYhjQa?v=1&app=1

    AICU media編集部も実際に手を動かして、1時間半の時間内に無事、AWSを使って構築できました

    完成したアプリケーション

    完成したアプリケーションの機能を紹介します
    「awsではじめる生成 AI」

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    なんとこれだけの機能が付いてきます

    • チャット
    • RAG(検索拡張生成)チャット
    • 文章生成
    • 要約
    • 校正
    • 翻訳
    • Webコンテンツ抽出
    • 画像生成
    • 映像分析
    • 音声分析
    • 議事録作成
    • ブログ記事作成

    全部入りです。これだけで一般的に利用できるメジャー生成AIサービスの最新バージョンをほぼ網羅していると言っても過言ではありません。
    さらに入力した文章や画像が学習に使われることはありません。アカウントもAWS Cognitoを使って作りますので、メールアドレスやパスワード、その他の認証を使って利用できます。

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    機能詳細

    チャット

    モデルはClaude 3 SonnetとClaude 3 Haikuが使用できます
    履歴は保存されているので後から閲覧可能です

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    プログラムのコードも生成可能です

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    しっかり会話履歴も保存されます

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    RAG(検索拡張生成)チャット

    RAG[Retrieval Augmented Generation](検索拡張生成)とは、回答を生成する前にデータベースを検索することで追加学習をさせずに回答の信頼性を向上させる技術です

    今回は内部マニュアルやトレーニング時以降の情報などをS3バケットに配置しています

    AWSにおけるRAGは以下のサイトを参考にしてください

    https://aws.amazon.com/jp/what-is/retrieval-augmented-generation

    これにより休暇の申請方法を根拠となる書類を提示しながら説明するなど、信頼性が向上します。

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    文章生成

    元となる文章を指定されたフォーマットに書き直します

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    プレゼンテーションで使用できるよう章立てにして簡潔にまとめてくれました

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    翻訳

    生成AIを用いた翻訳です

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    Webコンテンツ抽出

    URLから中にあるコンテンツを抽出します

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    画像生成

    左側に日本語の文章で記述すると、右側に画像生成が実行されるという2つの生成AIモデルの合せ技です。
    claude 3 を用いて英語のプロンプトを生成したのち、画像生成します
    画像生成用のモデルとしてStability AI の Stable Diffusion XL (SDXL) とTitan image generatorを選択できます

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    プロンプトが英語で生成されているのがわかります

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    ※SDXLは1024×1024で学習されているので、サイズ指定は1024×1024を設定したほうが良さそうですね。

    イタズラをしているポメラニアンを描いてみました

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    映像分析

    カメラからの入力をもとに何が映っているか文章で説明します
    チャットでさらに細かく指示することもできます

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    カメラに写ったものをほぼリアルタイムで解説します。

    音声認識

    マイク入力や音声ファイルから文字おこしをします
    詳細なパラメータを用いればインタビューの文字起こしも簡単にできそうです

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    ユースケース連携の機能について

    上記の機能を組み合わせて使う機能です
    各機能のタブからは使うことができません
    ホームタブのユースケース一覧を一番下までスクロールすると現れる、
    それぞれの試すボタンから使用します

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    ブログ記事作成

    URLをもとに内容を抽出し記事を作成、要約したのちサムネイル画像を生成します

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    抽出した内容とブログを書く際のルールをもとに記事を作成してくれます

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    さらに生成したブログ記事の本文を要約します

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    最後にブログ記事に合うような画像を生成します
    その際に要約を用いることでより具体的なサムネイル画像が作成できるようにしているようです

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    デプロイ方法および費用について

    ワークショップ内では、300人という大規模な会場にも関わらず、AWSでのデプロイとAWSクラウドソリューションエンジニアのみなさまによる丁寧なサポートが提供されました。

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    ★運用時の費用や手順の詳細についてはメンバーシップ向け先行公開および、別の記事で紹介したいと思います。

    最後に新しいAWS認定試験「AWS Certified AI Practitioner (AIF)」や「AWS Certified Machine Leaning Engineer – Associate (MLA)」についての紹介や、お楽しみ、商品つきクイズ大会も!

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    難問中の難問。
    「3.8」と「3.11」どっちが大きい数字?

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    実際にClaude 3.5 sonnetに訊いてみます。

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    300人を超える参加者が非常に快適で濃密な知識交換をできる機会となりました。
    講演登壇者および運営のみなさまに感謝を記載させていただきます。
    次回は10月31日野開催になるそうです。

    https://aws.amazon.com/jp/events/ai-day

    生成AI時代に「つくる人をつくる」AICUとしては総力をあげて4回特集でお送りいたしました。

    お楽しみいただけましたでしょうか。
    AICU AIDX LabはさっそくAWS Bedrock活用ソリューションを開発・展開を行っております。
    ご相談はこちらまで。
    https://corp.aicu.ai/contact

    https://j.aicu.ai/MagV4


    この記事の続きはこちらから https://note.com/aicu/n/n4a38bcebe324

    Originally published at https://note.com on Sept 12, 2024.

  • 【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(3)突撃!隣のAmazon Bedrockユーザー ~YouはどうしてAWSで?~

    2024年9月9日開催の「AWS AI Day」レポート第3弾!
    「つくる人をつくる」AICU mediaでは総力を上げてレポートしております。
    今回は、KDDIアジャイル開発センター株式会社 テックエバンジェリスト、御田 稔(みのるん)氏の講演をピックアップします。

    ▶前回の記事はこちら
    【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(1)新人こそがAI開発のエース!?リクルートの最新事例 #awsAIday

    【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(2)AWS活用企業100以上の生成AI事例に見るビジネスインパクト創出の方程式

    お忙しい方はX(Twitter)でどうぞ!

    KDDIアジャイル開発センター株式会社は、Amazon Bedrock GA直後から生成AIプロダクト開発に活用してきた自社事例を披露。AWSを選んだ理由やエンジニア目線での魅力的な機能について語られました。

    資料公開もされております

    https://speakerdeck.com/player/dc0be998325e47e4b11f49fe747eee0a

    発信の大切さをよくわかっていらっしゃる…!

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    テックエバンジェリスト 御田稔(みのるん)氏

    KDDIアジャイル開発センター株式会社(以下KAG)

    https://kddi-agile.com

    https://kddi-agile.com/news/20240905-01

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    Amazon BedrockのGA直後からいくつもの生成AIプロダクト開発に活用してきた自社事例を紹介しつつ、なぜAWSのAmazon Bedrockを選ぶのか、採用時の自社グループ社内向け対応の工夫、エンジニア向けの一押し機能などをユーザー目線から解説します。

    https://aws-ai-day-jp.splashthat.com

    みのるんさんのご著書 「Amazon Bedrock生成AIアプリ開発入門」

    https://www.amazon.co.jp/dp/4815626448

    【AWS用語】「GA」とは?
    GAはGeneral Availabilityの略。プレビュー(ベータ版)を終えて、一般提供(正式版)に切り替わることを意味する

    KAGでのサービス開発事例

    「生成AIブーム、終りが見えませんね…!」
    「もはやブームを通り越して、生成AIは使って当たり前の技術として定着しつつあります」
    という書き出しからスタートした みのるん氏の講演。

    KAGもAmazon Bedrockを活用しまくっています

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    「現場の感覚が大事」という みのるん氏は、あえて現場に飛び込んでいって課題解決のためのソリューションや社内サービス開発に邁進されております。

    ユーザーから見たAmazon Bedrockのメリット

    ①生成AIをAWSのビルディングブロックの一つとして活用できる
    ②高度な機能がマネージドサービスとして簡単に使える
    ③ユーザーが多いので開発者を確保しやすく、Web上の知見も豊富

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    「うちの会社にAIいれるの、大変かも」

    みのるん氏もAmazon Bedrockを社内プロジェクトに導入するうえでは一筋縄ではいかない工夫や苦労をされております。
    KDDIグループや本体での利用環境整備、CCoEと連携して、セキュリティ部門と利用前提を合意。他社の生成AIサービスや、AWS自体はすでに社内導入事例があったため、同様の手続きで利用できるよう事前調整を図りました。
    またAmazon Bedrockのプレビューは1アカウント限定だったため、社内で申請ルールや費用分配の仕組みを速やかに作成し、早い段階でいろんな部署のメンバーが使えるように環境を整備したそうです。

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    選定時によく聞かれる「なぜAmazon Bedrockなの?」

    最新モデルがどんどん採用されていますよね!

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    ぜひ海外リージョンも積極的に活用しましょう

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    エンジニアをワクワクさせる
    Amazon Bedrockのイチオシ機能紹介!

    ①ナレッジベース for Amazon Bedrock

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    資料公開ありがたいです!

    ▶AWSの生成AIで社内文書検索! Bedrockのナレッジベースで簡単にRAGアプリを作ってみよう

    https://qiita.com/minorun365/items/24dfb0ea3afde6ed0a56

    ②エージェント for Amazon Bedrock

    第1回のレポートで紹介した自立型エージェントです。

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    マネジメントコンソールから簡単に作れる!とのことで、営業パワポをメールで送ってくれるデモを動画で披露していただきました。

    こちらも資料公開されております。

    【パワポ対応版】資料作成はAIにまかせよう!AWSでBedrockエージェント入門ハンズオン

    https://qiita.com/minorun365/items/85cb57f19fe16a87acff

    ③Amazon Bedrockプロンプトフロー

    7月に登場した新機能。ローコードで直感的にLLMアプリを作成できる

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    https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/bedrock/latest/userguide/flows.html

    実際の開発の中で学んだ生成AIアプリ開発Tips

    AIの推論には時間がかかる。タイムアウトを防ぐには?

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    図表入りのパワポもRAGで活用したい

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    AIエージェントがたまに言うことを聞かない…!

    ▶AWSで生成AIエージェントを操る! 話題のLangGraphにBedrockで入門しよう

    https://qiita.com/minorun365/items/6ca84b62230519d1d0ef

    生成AIって本当に楽しい!

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    さいごに、みのるん氏は
    「内製開発の見返りがめっちゃ大きい」
    「大丈夫まだ間に合います!」
    「自分で手を動かすと解像度めっちゃ上がる!」
    など勇気づけられるメッセージで講演をまとめられました。

    次回のレポートは、ワークショップ編!

    Generative AI Use Cases JP (略称:GenU)

    https://github.com/aws-samples/generative-ai-use-cases-jp

    コーディングなしでサンプルアプリケーションの動作を確認できるだけでなく、アーキテクチャや機能拡張についても学ぶことができ、 多くの参加者にとって、生成AIの可能性を肌で感じられる貴重な機会となりました。

    AWS AI Dayは、生成AIの最新情報や活用事例、そして実践的なノウハウを一度に学べる、非常に充実したイベントでした。

    AWSは、今後も生成AIサービスの拡充や開発者支援を積極的に進めていくとのこと。生成AIの進化はこれからも加速していくでしょう。

    AICUでは、生成AIに関する最新情報や活用事例を分かりやすくお届けします。 ぜひ、今後のイベント情報や記事にもご注目ください!

    #イベントレポート #awsAIday

    Originally published at https://note.com on Sept 11, 2024.

  • 【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(2)AWS活用企業100以上の生成AI事例に見るビジネスインパクト創出の方程式

    2024年9月9日開催の「AWS AI Day」レポート第2弾!今回は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 金融事業開発本部長の飯田 哲夫 氏による講演「100 以上の生成 AI 事例に見る ビジネスインパクト創出の方程式」をピックアップします。
    「つくる人をつくる」AICU mediaでは総力を上げてレポートしております。

    ▶前回の記事はこちら
    【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(1)新人こそがAI開発のエース!?リクルートの最新事例 #awsAIday

    生成AI導入企業の課題に切り込む!

    生成AIへの関心が高まる一方で、「具体的な活用方法がイメージできない」「社員の利用率が低い」という悩みを持つ企業も多いのではないでしょうか?

    飯田氏の講演では、AWSが支援する国内100社以上の生成AI導入事例を分析。そこから見えてきた、ビジネスインパクトを創出する「成功の方程式」 が示されました。

    100以上の事例を6つの分野に分類!

    飯田氏は、生成AIのユースケースを「一般的なユースケース」と「業界特化の課題にフォーカスしたユースケース」の2つに大きく分類。さらに、ハイインパクトなユースケースとして、以下の6つの類型に分類しました。

    • データの抽出
    • 商材作成の支援
    • サポート業務の支援
    • パーソナライゼーション
    • 営業活動の支援
    • 審査業務の効率化

    公式「AWS AI Day Tokyo」はこちら!

    生成AIの最前線を探る: 最新事例と実践的ハンズオン
    https://aws-ai-day-jp.splashthat.com/
    2024 年 09 月 09 日 14:00 – 18:00 JST

    今回は、イベント内の講演セッション中盤の刺激的な企業での事例紹介と分類から見えてきた価値ある視点をレポートします。

    100 以上の生成 AI 事例に見る ビジネスインパクト創出の方程式

    アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 金融事業開発本部長

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    飯田哲夫 氏による講演は「100 以上の生成 AI 事例に見る ビジネスインパクト創出の方程式」というタイトルでした。

    生成 AI に関心がある企業が増える一方、具体的な活用方法がイメージできない企業は 6 割、さらに導入したものの社員の利用率が 1~2 割に留まる調査結果が報告されています。この結果は、生成 AI の敷居の低さに比べて価値創出の難易度が決して低くないことを示しています。本セッションでは、AWS の 100 社超える国内の生成 AI 本番導入事例と Amazon を含む海外の事例から、効果の高いユースケースと、事例化した企業に共通するビジネスインパクト創出の方程式を解き明かします。

    えっ、25分の講演で「100 以上の生成 AI 事例」なんてどうやって紹介するんだろう!?しかも「具体的な活用方法がイメージできない企業は 6 割、さらに導入したものの社員の利用率が 1~2 割に留まる調査結果が報告」という状況は報道等でも言われている雰囲気ではありますが、どんなAWSマジックがあるのでしょうか、聞く前からワクワクです。

    飯田氏「数十万の日本のAWSのお客さんの中で100事例は少なすぎるぐらい」

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    飯田氏の講演では、まずユースケースを2つに分けました。
    ・業界特化のユースケース
    ・一般的なユースケース

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    さらに様々な産業で共通する「一般的なユースケース」において
    ・顧客体験をさらに高める
    ・従業員の生産性と創造性を加速する
    ・ビジネスプロセスの最適化
    といった軸で具体的な整理が進められました。

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    さらに「業界特化の課題にフォーカスしたユースケース」において
    ・ヘルスケア/ライフサイエンス
    ・製造業
    ・金融サービス
    ・流通/小売
    ・メディア&エンタメ
    といった各業界において具体的な事例を列挙していきます。

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    ハイインパクトなユースケースの類型

    そして「ハイインパクトなユースケースの類型」
    ・データの抽出
    ・商材作成の支援
    ・サポート業務の支援
    ・パーソナライゼーション
    ・営業活動の支援
    ・審査業務の効率化
    という分類が示されました。

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    さてここからは具体的な事例です。

    1社あたり3行程度の事例ですが、具体的な数字を入れつつすごい勢いでインパクトのある事例が紹介されていきます。

    ・データの抽出

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    第一興商:入社1ヶ月の新人が3週間で9割は採用基準を満たす会話記録

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    AWS未経験で入社1ヶ月の新人が3週間でAmazon TranscribeとAmazon Bedrockを利用して検証。約9割は基準を満たす良好な結果。

    ・商材作成の支援

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    パルシステム:マーケティングのための商材作成
    FFB: ユーザーが撮影した写真をSNSへ投稿する際、ハッシュタグの作成キャプションとタグの生成に15分以上要していた。生成AIの適用により作業効率50%以上削減。

    北海道文化放送:FAXで届くリリース情報からニュース原稿の作成フローにAI活用

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    ・サポート業務の支援

    日本製鋼所: 営業応対に活用。開発期間2ヶ月

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    セゾンテクノロジー: HULFT製品のテクニカルサポートエンジニアが回答作成時間を最低30%短縮

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    ・パーソナライゼーション

    パーソナライゼーションではNatWestの事例

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    ・営業活動の支援

    営業活動の支援ではエフピコさんの事例で日報作成を紹介。

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    ・審査業務の効率化

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    審査業務の効率化では野村ホールディングスの事例と、FleGrowthでの監査対応トレーニング事例が紹介されました。 ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証のために参照する社内規定、マニュアルは100以上。
    一人のエンジニアが3ヶ月でデモを構築、3ヶ月のブラッシュアップでリリース。

    100以上の事例に見る共通点

    これまで6分野に分類して一気にインパクトのあるユースケースを紹介いただきましたが、実はこれらの事例には「共通点」があるそうなのです。

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    ・顧客起点文化: 顧客体験はもちろん社内の営業やカスタマーサポートの人たちの作業評価サイクルがあること。
    ・小規模なチーム: 2-4名もしくは1名
    ・頻繁な実験: 1-3ヶ月で本番稼働

    これらはリクルートの新卒エンジニアチームによる事例もエビデンスと言えると感じました。

    まず始める
    そして加速する

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    成功事例には、顧客起点の文化、小規模なチーム、頻繁な実験という共通点があることがエビデンスとともに示されました。 汎用性の高いものから、各企業の独自性、業界特有のものへと発展していきます。 飯田氏の講演は「まずはハイインパクトなユースケースから取組み、実験・傾聴・反復のサイクルを加速させましょう」というメッセージでまとめられました。

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    成功企業に共通する「3つのポイント」とは?

    100以上の事例を分析した結果、成功企業には以下の3つの共通点があることが明らかになりました。

    1. 顧客起点文化: 顧客体験はもちろんのこと、社内の営業やカスタマーサポートにおける評価サイクルが確立されている。
    2. 小規模なチーム: 2〜4名、もしくは1名体制でプロジェクトを推進。
    3. 頻繁な実験: 1〜3ヶ月という短期間で本番稼働までこぎつけ、PDCAサイクルを高速で回している。

    これらのポイントは、リクルートの新卒エンジニアチームによる事例からも裏付けられています。

    まずは小さく始めて、高速PDCAで成果を最大化!

    飯田氏は最後に、「まずはハイインパクトなユースケースから取り組み、実験・傾聴・反復のサイクルを加速させましょう」と締めくくりました

    聴講した感想

    圧倒的な事例数と説得力のあるメッセージが印象的な講演でした。

    近い講演が資料が8月に公開されていますが、飯田氏の講演ではさらに事例の追加と整理が進んでいるという印象でした。

    https://speakerdeck.com/player/4e1225d6d4664ad3818cce81a60a4114

    世間一般で言われているような「企業でのAI活用が進まない」というステレオタイプとは裏腹に、かなりのスピード感で一般化しており、また「インパクトのある成果の影にAWSあり」という印象を持つことができました。

    圧倒的な事例数によるすごくいい講演だと思いました。
    前後の講演の構成もフワッとした話が具体的になり、さらに「自分でやりたい」という気持ちが起きる良い構成でした。
    良い講演をありがとうございました。

    【レポートはまだまだ続きます!】

    次回は、KDDIアジャイル開発センター株式会社のテックエバンジェリスト、御田 稔(みのるん)氏による講演「突撃!隣のAmazon Bedrockユーザー ~YouはどうしてAWSで?~」をレポートします! お楽しみに!

    こちらのレポートと、気になるワークショップについてのレポートを予定しております。

    Originally published at https://note.com on Sept 10, 2024.

  • 【イベントレポート】AWS AI Day:生成AIの最前線に迫る最新事例と実践ハンズオン(1)新人こそがAI開発のエース!?リクルートの最新事例

    2024年9月9日、生成AIの最新動向と活用事例を学べるイベント「AWS AI Day」が開催されました。会場は、生成AIの可能性に期待を寄せる多くの参加者で熱気に包まれました。

    今回は、イベントの注目セッションや見どころをレポートします。

    AWS AI Day

    生成AIの最前線を探る: 最新事例と実践的ハンズオン

    https://aws-ai-day-jp.splashthat.com/
    2024 年 09 月 09 日 14:00 – 18:00 JST

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    会場となったザ・プリンス パークタワー東京

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    ボールルーム ABC

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    オープニングセッション:AWSの生成AI戦略と最新アップデート

    オープニングセッションでは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 Data & AI事業本部 プリンシパル事業開発マネージャーの黒川 亮 氏が登壇。

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    AWSが考える生成AIのビジョンや戦略、そしてAmazon Bedrockをはじめとする生成AIサービスの最新アップデートが紹介されました。

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    これまで326機能をリリース。これはクラウド各社と比較しても群を抜いて多い数。

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    最先端のAIは、クラウド上にある。

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    世界最速の演算環境をクラウドで。

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    推論と学習で別の演算環境を用意
    AWS Inferentia(インファレンシア)
    Amazon EC2 で、深層学習と生成 AI 推論について最低コストで高パフォーマンスを実現

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    そしてサステナビリティ。

    業務に効くモデルの選択、組み合わせ

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    Bedrockで最新リリース
    Claude3.5, Stable Diffusion 3が可能に

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    そしてモデル評価も

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    RAGによるナレッジベースデーターコネクター拡張もお任せ

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    Knowledge Bases for Amazon Bedrock

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    https://aws.amazon.com/jp/bedrock/knowledge-bases

    ナレッジベース・データコネクター拡張

    URLやSalesForceなど…

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    新しいデーターソース、コネクタが用意されています。

    https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/knowledge-bases-for-amazon-bedrock-now-supports-additional-data-connectors-in-preview

    アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 Data & AI事業本部 プリンシパル事業開発マネージャー 黒川亮 氏は、LLMによる知識を「チーズ」に例えます。知識の「チーズの穴」を埋めるRAG以外の手法が「ファインチューニングである」としています。

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    そしてエージェント機能によるメモリー保持とコード解釈。

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    生成AI Contents Hubを公開

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    Generative AI Use Cases JP (略称:GenU)

    https://github.com/aws-samples/generative-ai-use-cases-jp

    特に、生成AIの先進をリードするAWSの姿勢が強調され、参加者の注目を集めました。

    顧客事例講演(1):リクルート

    リクルートの今年4月の新卒入社、の柴田さん中川さんによる講演。
    新人が感まったくない、堂々とした生成AIプロフェッショナルによる講演でした。

    顧客事例講演では、株式会社リクルートとKDDIアジャイル開発センター株式会社が登壇。

    リクルートは、Amazon Bedrockを活用した入稿文章校正システムの構築事例を紹介。新人検索エンジニアがRAG(Retrieval Augmented Generation)の性能評価や改善に取り組んだノウハウを共有しました。

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    リクルート新卒中川さん「RAGは(構築するだけなら簡単だが)評価が大事」

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    わかりみです

    様々な「社内規定」をテーマに事例を紹介 されました。
    たとえば「『約』という表現は可能か?」 リクルートの営業さんからの過去の問い合わせメールなどを使い、RAGの中にプロンプトで「常識的に回答」を加えて実態に沿わせた回答に。 さらにここから「評価」に。 改善の方法が汎用できるのか? 方向性が正しかったのか?を評価していきます。

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    過去のリクルート営業さんからの質問からテストケースを作成。一方で、 回答の性能評価の難しさについても語られました。

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    それで大丈夫?RAGのチューニング

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    RAGの品質を自動評価するOSSフレームワーク「RAGAS」を使用

    https://docs.ragas.io/en/stable

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    RAGASの出力から。
    Answer Similarity: 真の回答の類似度
    Fathfulness:コンテキストにどれだけ沿っているか

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    今回の例だとAnswer Similarityは上がっているけどFaithfulnessが上がっている。これはハルシネーションリスクが上がっている。

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    真の回答には背景となる状況を考慮している そこで 事実の仮定と場合わけを追加 RAGASの導入によって改善サイクルが回るようになった 3ヶ月で40以上のサイクルを回して改善を実施した

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    まとめ

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    様式美もきっちりで
    まるで新人とは思えない発表でした

    ありがとうございました!

    <続きます>

    ツイートスレッドでの紹介はこちらから

    #イベントレポート #awsAIday

    Originally published at https://note.com on Sept 9, 2024.