2024年4月25日、26日に行われたAIマーケティングBB(Beyond Borders)は、東京と米国シリコンバレーに法人をもつ Pivot Tokyo が主催・運営する、最先端テクノロジーとマーケティングの融合を探求するイベントです。
この記事では、Day2の最初の講演、NVIDIAエンタープライズ事業本部 事業本部長の井崎 武士さんによるキーノート
「マーケティングカンファレンス初登壇!AI時代のイノベーションリーダーNVIDIA が考える リテール/マーケティングの未来: 生成AIがもたらす変革とは?」
についてレポートしていきます。
Day1のレポート、イベントの詳細はこちらです。
【キーノート】
AI時代のイノベーションリーダーNVIDIA が考えるリテール/マーケティングの未来: 生成AIがもたらす変革とは?
NVIDIA の強み – 潤沢な GPU 資源
講演は、NVIDIA が現在進めているプロジェクトや業績から始まりました。
半導体事業で広く知られる NVIDIA ですが、その管理している GPU の質と量を生かし、近年では AI に関わる事業も数多く運営しています。
例を挙げると、グラフィックスの領域で使用される流体シミュレーションや、学術面での推論、学習、またコンピューティングプラットフォームの提供が主になっています。
大規模言語モデルの推論やファインチューニング、最適化エンジン、マイクロサーバーの開発等にも着手しており、NVIDIA が本格的に生成 AI 事業を進めていることがわかります。
また、他の企業と連携した生成 AI 事業も数多く紹介されました。
Adobe と共同開発した Adobe Firefly は Adobe の新技術である画像生成 AI で、これからのクリエイティブ領域に大きく期待されています。
またパートナー企業が進めているプロジェクトの例として、手術、看護の面で活躍する医療補助ロボットや、自動運転技術開発のための映像生成と学習、音楽、音声生成なども挙げられました。
全てが AI 化されるのが最善の未来なのか?化粧品会社 L’Oréal のポリシー
講演は NVIDIA 社から見た生成 AI の可能性と、私たちが何をするべきかという話題に移ります。
まず、生成 AI の業界に大きな影響を与えた ChatGPT について、NVIDIA 井崎さんはこう述べました。
「 iPhone はデジタル機器の民主化を果たしました。今、ChatGPT は AIの民主化を叶えようとしています」
生成的 AI は、商品開発、マーケティング分析、広告、顧客サービスなどすべての業務に影響を与えています。
参考:NVIDIA Edify が 3D 生成 AI、ビジュアル コンテンツ プロバイダー向けの新しいイメージ コントロールを利用可能に(2024/4/3)
大手企業でも様々な分野での生成 AI 導入は進んでおり、Amazon が対話型 AI アシスタントを導入したり、スポーツウェアブランドでの例といった大規模な例も挙げられました。
しかし AI を導入するにあたって企業が大切にしなければならないのはポリシーや倫理観であり、すべてを AI 化することが必ずしも良いわけではない、と井崎さんは結論付けます。
L’Oréal でのAIポリシーに見る生成AI時代のブランディング
例えば化粧品会社の L’Oréal では、AI の使用に関するガイドラインを設定し、積極的にAIエージェントなどを構築、宣材映像を生成しています。
しかし広告の主体となるモデルには画像生成 AI を使用しないというポリシーを持っており、実際のモデルの写真を使用しています。
「人の美しさはアバターでは表せない」というプロとしての意識が、L’Oréalのブランドを保っています。
しかし生成 AI を使用すべき箇所の線引きは明確に行っており、化粧をした顔のシミュレーションやアイデア出しには画像生成 AI を使用しています。
このようにポリシーやガイドラインのもと、効果的に生成 AI を使用することが生成 AI 時代の企業に求められています。
以上、AI Marketing BB 2日目キーノート「NVIDIA が考えるリテール / マーケティングの未来」でした。
引き続き2日目の講演のレポートを行っていきます!
Day1はこちら