SIGGRAPH Asia 2024特集(1) 最先端のCG研究を3時間で!【Technical Papers Fast-Forward】全ジャンル予習リスト

コンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術の世界最大の国際会議「ACM SIGGRAPH」が東京にやってきます!AICUでは学生ボランティアに公式スポンサーとして協賛しております。
さらに特別企画として東京国際フォーラムで2024年12月3~6日に開催される「SIGGRAPH Asia 2024」を総力特集いたします!

[SIGGRAPH Asia 2024特集]ライター紹介 Houdini使いの やまぐち さん

やまぐち:AICU mediaのライター やまぐちです!
しらいはかせ:よろしくお願いいたします!さっそくですが、やまぐちさんはどんなバックグラウンドをお持ちなのでしょうか?

やまぐち:本業はVFX関係のクリエイター(修行中)です。過去にはSIGGRAPHは学生ボランティアスタッフで参加したこともあります。

しらいはかせ:いいですね!生成AI時代に「つくる人をつくる」をビジョンに活動するAICU mediaは、読者のみなさんに向けてSIGGRAPH Asia 2024関連の情報を、専門家向けだけでなく、分かりやすく紹介していきたいとおもいます。

やまぐち:私、VFXクリエイターなので最新の画作りには興味あるんですが、論文とか研究開発とか専門的で難しすぎて。理解できないかもしれないんですよ…どこから手を付けていいか…。

しらいはかせ:そんな方には今回紹介する、初日(2024/12/3)の朝に開催される「Technical Papers Fast-Forward」(以下TPFF)の予習がオススメです!最新のCG研究の最高峰をたった3時間で超早送りでプレゼンする名物セッションです。CG業界の研究にお馴染みの方も初めての方も、TPFFを予習することで、現在のCG研究がどのような状態にあるか、そして今回のSIGGRAPHで何を見るべきか、を学べます。一緒に見ていきましょう!

やまぐち:承知しました!では今回の記事は前編として、TPFFの全体像を紹介します。後編では、Houdinistの私が気になったTechnical Paperをピックアップしていきますね!

しらいはかせ:フーディニスト!!? Houdini使えるんですか!これは期待。

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それでは、やまぐちさんの SIGGRAPH Asia 2024 レポート、はじまります!

    TPFF: Technical Papers Fast-Forwardとは

    まずこちらがSIGGRAPH Asia 2024公式サイトによるTPFFの情報です。
    Technical Papers Fast-Forward 
    https://asia.siggraph.org/2024/session/?sess=sess223

    そもそもSIGGRAPHにおける「Technical Papers」プログラムとは何か。これはSIGGRAPHにおいて重要なセッションであるコンピュータグラフィックスおよびインタラクティブ技術分野における技術研究論文の最新の進展が紹介される場です。世界中のトップエキスパートによる最先端の研究を直接体験する機会が提供されます(Technical Papers より)。

    そのTechnical Papersプログラムの幕開けとなるTPFFは、会期初日(2024年12月3日)に行われる、全Technical Papersのプレビュー・セッションです。各論文の著者が1分以内の持ち時間で、その論文の概要を披露します。

    277本のTechnical Papers、全ジャンル紹介!

    今年のTechinical Papersの発表数は、全部で277本あるようです。つまり仮に「1件30秒」で発表したとしても、TPFF全体ではおよそ2時間強になりそうですね。世界中から集まって選び抜かれた277の最新技術が初日のこの時間に凝縮されていると思うと、とても濃密な時間です。

    今回SIGGRAPH Asia 2024でTechnical Papersが発表される分野を開催日別に、原題、日本語訳、開催時刻という形式で紹介していきます。

    1日目(2024年12月3日)

    Geometry Processing Computing
    ジオメトリ処理コンピューティング
    13:00-14:10

    Going Big in Rendering
    大きなスケールのレンダリング
    13:00-14:10

    Make It Yours – Customizing Image Generation
    画像生成をカスタマイズして自分のものに
    13:00-14:10

    Design It All: Font, Paint, and Colors
    すべてをデザインする:フォント、ペイント、色
    14:45-15:55

    Modeling and PDEs
    モデリングとPDE(偏微分方程式)
    14:45-15:55

    Neural Relighting and Reflection
    ニューラル・リライティングと反射
    14:45-15:55

    Color and Display
    色とディスプレイ
    16:30-17:40

    Geometry and Fabrication
    ジオメトリと組み立て
    16:30-17:40

    Path Guiding, Scattering
    パスガイド、散乱
    16:30-17:40

    2日目(2024年12月4日)

    Look at it Differently: Novel View Synthesis
    見方を変えよう 新しいビューの合成
    10:45-11:55

    Surface Reconstruction and Modeling
    サーフェスの再構成とモデリング
    10:45-11:55

    Your Wish is my Command: Generate, Edit, Rearrange
    あなたの願いは私の命令:生成、編集、再配置
    10:45-11:55

    Animating Humans
    人間に命を吹き込む(アニメーション)
    13:00-14:10

    It’s All About Change: Image Editing
    変えることのすべて:画像編集
    13:00-14:10

    Splats and Blobs: Generate, Deform, Diffuse
    スプラットとブロブ:生成、変形、拡散
    13:00-14:10

    Beyond RGB
    RGBを超えて
    14:45-15:55

    Domo Arigato, Mr. Roboto / Robots and Characters
    ドモアリガトウ、ミスター・ロボト/ロボットとキャラクター
    14:45-15:55

    Threads of Reality: Garments & Knitting
    現実の糸:衣服と編み物
    14:45-15:55

    Computational Design
    コンピューテーショナル・デザイン
    16:30-17:40

    Text, Texturing, and Stylization
    テキスト、テクスチャリング、スタイライゼーション
    16:30-17:40

    To Bend or not to Bend?
    曲げるべきか否か
    16:30-17:40

    3日目(2024年12月5日)

    (Don’t) Make Some Noise: Denoising
    ノイズ除去
    9:00-10:10

    Deform Your Axis: Skeletons and Cages
    軸を変形させる:スケルトンとケージ
    9:00-10:10

    Keep in Touch / No Touching
    触り続けて/さわらないで
    9:00-10:10

    3D Printing, Manufacturing
    3Dプリンティングと製造
    10:45-11:55

    Capture Me If You Can
    キャプチャーしてくれるやってみて
    10:45-11:55

    Going Fast: Accelerated Rendering
    高速レンダリング
    10:45-11:55

    Characters and Crowds
    キャラクターと群衆
    13:00-14:10

    Neural Shapes
    ニューラル・シェイプ
    13:00-14:10

    Sampling and Light Transport
    サンプリングとライトトランスポート
    13:00-14:10

    Diffusing Your Videos
    拡散モデルと動画
    14:45-15:55

    Fill the Gap: What Happened In-between?
    ギャップを埋める:その間に何が起こったのか?
    14:45-15:55

    Mesh Processing Unleashed
    メッシュ処理からの解放
    14:45-15:55

    Diffuse and Conquer
    拡散と征服
    16:30-17:40

    Generate It All: Scenes, Humans, LEGOs
    すべてを生成せよ:シーン、人間、そしてLEGOも。
    16:30-17:40

    Talking Heads and Moving Faces
    話す頭と動く顔
    16:30-17:40

    4日目(2024年12月6日)

    Beauty Salon: Hair, Face, Lips, and Teeth
    ビューティーサロン:髪、顔、唇、歯
    9:00-10:10

    Differentiable Rendering
    微分レンダリング
    9:00-10:10

    Elastics / Solvers / Neural Physics
    弾性/ソルバー/神経物理学
    9:00-10:10

    Fluid Simulation
    流体シミュレーション
    10:45-11:55

    Modeling and Reconstruction
    モデリングと再構成
    10:45-11:55

    My Name is Carl: Gaussian Humans
    私の名前はカール:ガウシアンヒューマン
    10:45-11:55

    (Do) Make Some Noise
    (あえて)ノイズをつくろう
    13:00-14:10

    Appearance Modeling
    アピアランス・モデリング
    13:00-14:10

    Points, Graphs, Surfaces, and Fields
    点、グラフ、面、フィールド
    13:00-14:10

    Enhancing, Saliency
    強調と顕著性
    14:45-15:55

    Hand and Human
    手と人間
    14:45-15:55

    Interactive Methods and VR/AR
    インタラクティブな手法とVR/AR
    14:45-15:55

    まとめ:クリエイターやまぐちの視点

    今回が3回目のSIGGRAPHになるのですが、フルアクセスでないと入室できないTechnical Papersプログラムは過去2回とも素通りしていたためにTPFFについて知るだけで圧倒されてしまいました。しかし進化の速いCG+AI業界で生きていくためには日進月歩の技術に追いついていく習慣が大事ですね。その最新技術の先端を4日間で知ることのできるSIGGRAPH Asia 2024はとても良い機会です。食わず嫌いせずに、この際たくさん情報収集しましょう!

    編集長のフィードバック

    やまぐち:編集長!終わりました!
    しらいはかせ:おおっ短い時間でありがたいです!これは事前取材に役立ちそうですね。需要があれば読者のみなさんにスプレッドシートで配布したいぐらいですね…!

    やまぐち:Webサイトだけだと辛いかもしれないですね。ニッチな需要かもしれませんが。

    しらいはかせ:ところで結構、詩的な英語が多かったでしょ?
    やまぐち:映画のタイトルとかをいじったかんじですかね、勉強になります。

    しらいはかせ:あと、公式からトレイラーも出ていました!
    やまぐち:おーー!早く教えて下さいよ~!

    しらいはかせ:このトレイラーには6本のTechinical Paperが代表して紹介されていますね。そのうち3本が画像・映像生成のものです。やまぐちさんが調べてくれた全発表リストとジャンル構成からも同様に、今回のSIGGRAPHにおいて、画像・映像生成関連の研究が大いに盛り上がっていることが分かります。

    やまぐち:DiffusionとかGaussian Humansとか、専門用語の予習になました!

    しらいはかせ:個人的に興味があったもの、ありますか?僕は4日目「Hand and Human(手と人間)」のセッション、「Synchronize Dual Hands for Physics-Based Dexterous Guitar Playing」(両手を同期させて物理ベースの器用なギター演奏を実現)に興味があります。むかし、AI VTuberでギターを演奏する研究をしていたので…。

    やまぐち:個人的にユニークに感じたのは、最終日4日目にある「Interactive Methods and VR/AR(インタラクティブな手法とVR/AR)」内の「ThermOuch: A Wearable Thermo-Haptic Device for Inducing Pain Sensation in Virtual Reality through Thermal Grill Illusion」(サーモッチ ThermOuch: サーマルグリル錯覚を使った仮想現実で痛みの感覚を誘発するウェアラブル熱触覚デバイス)。VRの体験中に熱によって痛みを引き起こすウェアラブルデバイスとのことです。付けてみたいような嫌なような…(笑) 

    しらいはかせ:そういえば、Technical Papersではないですが、世界で最も歴史ある日本の学生VRコンテスト「IVRC2018 出血体験」でも近いインタラクティブ技術による体験が提案されていました。

    ここまでの論文に完成させるためには相当な理論化と十分に再現性のある実験が繰り返されているという印象です。こういう展示体験系は論文発表だけでなく、「Emerging Technologies」というエリアに展示されています。
    こちらも公式ティザーが公開されていますね。

    ■SIGGRAPH Asia 2024 – Emerging Technologies Trailer
    https://www.youtube.com/watch?v=oHw92EMOH4c

    こちらについても別の機会で紹介したいと思います。論文と違って現地でしか体験できないので、当日が楽しみです!

    SIGGRAPH Asia 2024は東京国際フォーラムにて、2024年12月3日~6日です

    次回もお楽しみに!
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    (執筆:やまぐち・しらいはかせ)
    Authored by Yamaguchi & Dr.Hakase aka Akihiko Shirai

    本特集はAICUマガジン1月号に収録される予定です。
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    Originally published at https://note.com on Nov 24, 2024.